投稿日: Sep 21, 2012 12:38:9 AM
出版ビジネスには機会損失が多くあると思う方へ
コンビニという業種はPOS化で仕入れの最適化をすることで、店の棚の回転率を下げないようにできるのが広がった理由であるし、全くその逆に零細書店はPOS化も出来ずに、取次ぎが用意した配本による以上の売上げには行かないであえいでいる。書店でもチェーン店の場合は販売データがリアルタイムで得られるようになっているので、棚の回転率はある程度は管理できる。POSのような運用上の仕組みから出てくるデータと、ニュースや季節や場所柄などのミクロなデータ、および出版統計やライフスタイルに関するマクロなデータを組み合わせて、それぞれの店舗の販売戦略が工夫されるはずである。
日本では出版社が電子書店にeBookをあずける際に、そのコンテンツはどういった層にどれくらい売れそうか、どのような広告アピールやアフィリエイトをしているのか、など販売戦略に関わる打ち合わせをしているようには思えない。通常新製品が発表される場合にはメーカーから販売店に向けてオリエンテーションが行われるが、出版はよほどでないとそのような販促データは提供されないので、多くの場合はリアル書店でもオンライン販売でも単に羅列的に並べられてオワリである。これは自動販売機に飲料のビンや缶を並べているのと大差ない。つまり本つくりには一生懸命になるが、販売の準備は同時には進んでいないとか、図書目録など販促資料がずいぶん後手になっているところが多いのではないだろうか。
飲料の場合は自動販売機に入れることが販促ではなく、別途メディアを使った広告や販促は盛んに行われていて、それがコカコーラのごとくTV広告を大幅に削減してネット広告にシフトするような変化をしているのが今日である。だから電子書籍になってネットで売るしかなくなったときに、出版社が有効な広告・販促をできないのは、そもそも紙の本の場合でも広告・販促戦略をもっていなかったからである。それには冒頭のPOSのようなリアルタイムデータと、ベースとなる統計や調査が必要で、TVで言えば視聴率のような調査が業界規模で行われなければならない。
これらには現在ではAmazonでの日計や大手書店の提供する販売データが利用されているが、電子書籍になった場合はどのように販促に必要なデータを集めていけばいいのだろうか?またコンテンツホルダ向けにどのような支援サービスが出てくるのだろうか?Ebook2.0 Forum の鎌田さんはアメリカのニールセンの調査について時々書かれているが、日本ではどうなるのだろうか? 一般の産業では業界で共同で統計をとるわけで、出版も概略としての統計は存在して、出版状況クロニクルを参考にされている方も多いと思う。10月の研究会(オープン・パブリッシング・フォーラム)では、日本の出版概況を振り返り、アメリカでのマーケティングを見わたし、新しい出版マーケティングを考えることを、10月17日(水)に行う予定である。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水)16:00-18:00 新しい出版マーケティングの時代