投稿日: Feb 20, 2015 1:30:46 AM
旧正月に合わせて帝国ホテルで行われた、マンガジャパン・デジタルマンガ協会合同の新春の会に行ってきた。代表理事であり会長の里中満智子氏の人柄が表れている組織で、社会活動に力を入れておられ、今年の初めに一般社団法人になっている。漫画のビジネスというよりも、震災復興支援や地域の漫画関連イベントの支援や漫画教育の支援などが活動の主体のようで、いわゆる業界の公的な団体としての日本漫画家協会とはメンバーは重なりながら、独自の路線にあるといってもよいだろう。
集まった方々の顔ぶれをみても、意外に出版社の方は少なく、これまで一緒に活動をされてこられたようなマンガジャパンの賛助会員になっている方々の方が多いようだった。私の受けた印象は、日本漫画家協会の方は漫画家の権利とか地位向上、ビジネス機会というところに比重があって、マンガジャパンの方は漫画家がアイディアを出すとか先生をするなど何らかの社会貢献をしようというところに比重があるようにも見える。メンバーもかぶっているし、多くの漫画イベントは組織の垣根を越えたものであろうから、外部の人が個々の組織の立ち位置とかを気にする必要はないかもしれないが、コラボする際には気にする必要がある。
そもそもマンガジャパンの新春の会に行った理由は何らかのコラボの可能性を考えたからで、それは漠然と絞られてきたような気がする。それは過去の人気作品の種明かしのようなものが必要ではないかということで、きっといろんな漫画研究者が個々の先生の漫画論を展開してきたのだと思うけれども、それらの意見交換とか、あるいは本人からいろいろ聞き出すということが、漫画作りの挑戦している若い人のヒントに、また教材になっている点である。
おそらく多くの漫画イベントは漫画ファンを対象にしていて、一方漫画の学校は作家志望が対象であろう。それとコミケのようなアマチュアサークルがある。漫画の学校ではきっとストーリー作りや台詞についても講義があるはずだ。これらの関係をもっと濃密にすることに意味があるように思う。ハリウッドとかディズニーの周辺には映画やアニメについて先輩が後輩に直接教える場があって、一つの産業として継承発展するような仕組みになっている。
日本のデジタルハリウッドなどクリエータ向け学校では現役の先輩が講師になっているが、どこの学校でも教室内は講師任せになっても、その裏でカリキュラムを組み段階では教育論という背骨ができてくるのだろう。すでに漫画も「教室」はあるのだから、クールジャパンが本気ならば、今ある漫画を売るだけではなく、ハリウッドとかディズニーに対抗できるようなバックボーンのことも考えるのがいいのではないか。
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