投稿日: Apr 22, 2016 12:34:17 AM
熊本の地震は発生後一週間経ってもまだ揺れている。震源は地下10kmと浅いのに断層は延べ東西100km以上にわたっているので、避難されている方が多い。記事『物資の需給と労力の需給』では被災者や避難者に対する補給の困難さに関して書いているが、国や自治体が統制を取ることができないので、過不足とか道路渋滞などが起こって、モノはあっても届けられないような事態も発生しているようだ。こういう災害経験をひとつづつ積み重ねて、将来の災害に備える知恵や体制を産み出していかなければならない。
ネット販売なら受発注管理が見える化されるので、「オムツが足りない!」という声に対して日本中からオムツが送られて山となるようなことは防げるだろう。現時点での過不足が把握できる仕組みはポータルサイトなどがやっているが、こういうサービスを非常時にはオークション業者に義務付けて、出品者が被災者に送れるようにするとか、その費用の一部か全部を公的機関が補助するとか、支援金・義捐金もオークション業者が仲介するとかできるようにしておけばよいと思う。一部はすでにやっている。
こういうポータルの利用の良い点は必要な声とそれに反応する全体の動きが把握できるようになる点であって、個人が善意でバラバラにやっていた時のムダは相当排除できるはずだ。昔から災害支援物資は置き場に困るほど不要物が送られて、宅配業者の段階で配らずに廃棄していたこともあった。実際には善意が迷惑な場合もあったのだ。
それはボランティアがかけつけることで道路がマヒし、緊急を要する支援やインフラの復興の邪魔になることもあることもあって、交通もどこかで管制・規制される必要がある。
つまり災害時にも統制のとれた行動ができるように普段から準備することなのだが、それを一般の人々みなに求めるのは無理で、訓練が可能な組織がなければならない。それはネットではポータルサイトのようなものであろうし、リアルワールドでは消防団のようなところが近い。今回の地震でも倒壊家屋から消防団の人が救出に当たっているニュースがあったが、地元ならではの知恵を活かして、道案内(交通規制)や集落への補給(兵站)などでも活躍が期待できそうである。つまり日本各地の消防団を災害全般を予想して機能拡充しておくのがいいのではないかと思う。
前記事でも、自治体は非常時に職員のマンパワーが不足することを書いたが、それを補うには、今は地方公務員の4分の1くらいしか居ない消防団を倍増し、特に現代的な諸機能を(場合によっては地方公務員以上に)強めておくのがいいかもしれない。昔ボーイスカウトに居た時の標語は『備えよ、常に』だった。
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