投稿日: May 20, 2010 10:19:44 AM
AppleとAdobeとGoogleと、誰が最長寿かと思う方へ
Sports IllustratedのHTML5版雑誌Webデモの話がTechCrunchに載っている。今話題のiPadでは、見た目でオオッと叫びたくなるデモがいっぱいある。青空文庫でさえ凄く見えたりする。しかし理性的に考えれば、それらのプレゼンテーションは電子書籍とは直接関係ないものばかりである。つまりWebでもプログラマが頑張ればできることなのに、今までやっていなかっただけ、ともいえる。ここがSteve Jobsのウマさでもあるし、限界でもある。
今の電子出版(あえて電子書籍といわない)の話の多くはデバイスの下馬評とともに語られる。ガジェットのお買い物の域を出ない話しも多い。しかしいつの時代もデバイスの旬の期間は短くて、次のverがいずれ出続けることは決まっている。だから議論の中心としては、今見えるところから、今後どのような方向に行こうとしているのかが重要なのである。しかしそれはすぐにはわからない。執拗に議論を続けることが大切で、自分を何々派にしてしまった時点で自分の寿命も決まってしまうようなもんだ。AdobeもGoogleもHTML5に保険をかけざるをえない理由がここにある。
ちょっと見ただけではiPadの電子雑誌デモと、HTMLのマルチメディアのデモは大差ないところまできている。TechCrunchのSports Illustratedのデモの記事ではWebブラウザで多彩なフォント、巨大な写真、ビデオ、ドラグ&ドロップ、検索などすべての機能が動作したという。iPadアプリという形でこれからのリッチコンテンツの姿を先行して見せてもらっているわけだが、実際に世の中に出てインパクトを与えるのは、iPadの中に閉じ込められたアプリよりも、どんなブラウザでも扱えるHTML5コンテンツであろう。
iPad雑誌もダウンロードして見て楽しむだけではなく、広告から購買に直結するとか、Webとのリンクやアフィリエイトというのが重要になっていくだろう。当然iPadの対抗馬も同じことである。つまりデバイスの良し悪しよりも、利用者のライフスタイルに沿った自然な使い方、あるいは自然な動線ができる「メディア」がこれらかできてくるのだろう。だから中期的に考えればiPad先にありきという開発はリスクが高い。
今Steve Jobsが見せてくれている「エクスペリエンス」をWebの中からでも実現するものとしてHTML5はあるのかもしれない。AdobeもGoogleもそこに主導権を発揮させることが鍵である。