投稿日: Feb 16, 2015 12:33:20 AM
出版という業態は成熟しているというか良くこなれていて分業もしっかりしているので、本つくりのうまい下手の差はそれほど大きくなく、100万部売れる本も2000冊しか売れない本も品質・価格ともに大差ない。当然儲けは違うわけだが、編集者としては業界内では肩を並べる存在である。
また2000冊でも何とか喰っていけた世界である。だから非常に広範囲なテーマの本が世の中に供給されたし、本からしか得られない情報も世の中に多く残された(これは表現の自由があっての話ではあるが…)。つまり情報の多様性が担保される業界の仕組みが構築されていたことになる。
ところがネットになってしまうと、ゲリラ的な情報を監視・遮断することは、ある面ではやりやすくなり、犯罪防止などの理由で検索エンジンでのフィルタリングをさせているとか、国などが力を入れて特定の情報統制をする場合もある。その抜け道も可能にはなるわけだが、大方の大衆の世論操作という点では有効なのだろう。
中国でもNHKのニュースなどがCATVで見ることができたが、やはりニュースの内容(特に中国の出来事)によってはザーと画面と音にノイズが入って聞き取れないものもあるということを聞いた。当然ネットには100万人オーダーの監視員が働いているという。
近年大衆的に発達したメディアにゲームがあり、ニンテンドー・SONY・Microsoftなど特定企業の垂直的なビジネスが世界的にサービスをしていたが、陰りが出てきた。特にニンテンドーなど専業者はこれからどうなるのかと不安視される場合もある。こういったゲームのプラットフォームの上で、アプリの世界はオープンに切磋琢磨してもらうはずであったが、アプリ制作側にしてみれば、将来コケるようなプラットフォームは敬遠されてしまうだろう。
大ヒットをして短期間に一獲千金を狙い、何年後のことは考えないような、マスメディア的なアプリならば、こういう不安視されるプラットフォームでもヒットエンドラン的ビジネスを続けるのだろうが、ニッチ市場向けに少部数を長い期間にわたって提供しようというアプリにとっては、将来にわたって機器がディスコンにならない確信が必要である。
Wiiのように革新的なユーザインタフェースを持つものは、体重計がヒットしたように、リアルワールドで使うアプリを開発するプラットフォームとしては大変将来有望に思えたのだが、そういった開発指向も次第にスマホの方に流れているように見える。ニンテンドーがスマホにつながるオモチャ屋として残るのか、スマホと対抗する専用機として縮小していくのか、どちらかなのだろうが、デジタルの世界はプラットフォームが撤退したらnothingになってしまったもの多いので、出版のように事業が零細化してもしぶとく生き残って多様性を保つようにはならない。それは文化的な積み重ねがされにくいことでもあり残念である。
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