投稿日: Jul 09, 2013 12:51:28 AM
自由な立ち読みは重要だと思う方へ
デジタルコンテンツのビジネスのあり方として、月額いくらかで読み放題とか聞き放題・見放題というサービスが増えている。これは損か得かというのが売る側と買う側の両方から検討されていると思うが、売る側にとっても悪い話ではないと思う。リアルな書店に例えるならば、立ち読みも有料の顧客になるわけだし、立ち読みをしてもらえた方が先につながる興味も広がっていくことになる。
電子書店などで書評やレビューやオススメに手間暇・コストをかけて、1点1点についてコストに見合った売れ方をしたか分析して、さらにプロモーションに取り組む専門家を置き、販売管理のシステムを導入することを考えると、『放題』にしておいて、全体の人いきれのようなものをコントロールする方が賢明かもしれない。
BookLiveがプロモーションにつぎ込んだ巨費は電子書籍の売上よりも大きいわけだが、そのプロモーション費用で万という単位のコンテンツが作れたはずである。特にBookLiveはどんどん広告宣伝に金をつぎ込んで売ろうというマスメディア型のビジネスをしたのだろうが、電子書籍の売れる数はまだマスにはならなかったのである。おそらく今後も出版全体からするとマスセールスになるものは例外的に存在するだけであろう。
だから『放題』という売り方はロングテールなコンテンツビジネスには向いているのだが、問題はビジネスの仕方を切り替えら得るかどうか、つまり売る側が自己革新できるかどうかの問題である。最初はコンテンツも揃っていないと月額料金も大して取れない。揃うにつれて利用のされ方も多様になる。それにあわせて便宜を図るようなサービス開発を続ける。それはコンテンツは同じものがヨソでも売られているので、便利さの競争になるからだ。サービス多様化につれて料金も何々プランというような選択が出来るようにする。
記事『素人とマニアとプロ』で、iPodで素人が管理できる楽曲数は1000にも満たないことを書いたが、ラジオのようなお任せの配信サービスも必要になるだろう。
これにはビッグデータ駆使の売上最大化シミュレーションをしなければならない。モバイルの世界がやってきたことである。決してドンブリ勘定で『放題』から利益が得られることは無いだろう。だから通信キャリアがコンテンツの『放題』ビジネスをしようと画策している。しかし通信キャリアが便利さのサービス開発競争に勝てるかどうかはまだわからなから出版流通系と組むという選択肢がある。出版流通系もビッグデータ駆使では通信キャリアに頼らざるを得ない。
あるいはクラウド業者がこの分野に出てくるかもしれない。少なくとも従来の電子書店はニッチな専門分野しか残ることはできないのではないか。