投稿日: Jul 12, 2010 12:31:45 AM
ソーシャルテクノロジーの進展が?な方へ
このBlogではこのところソーシャルとクラウドの関係を、膨大なデータ処理がもたらすデータルネッサンスという観点で説明したいと試みている。ちょうど参議院選挙が行われたので、記事『ソーシャルテクノロジー躍進のきっかけ』では『Google 未来を選ぼう 参院選2010』の先には、ソーシャルメディアのAPIを使った分析で割と客観的な情報が作られるだろうということを書いた。さて2008年のアメリカ大統領選挙がソーシャルテクノロジーの発達に拍車をかけて、新聞と雑誌の地位低下に結びついたわけだが、インターネットやモバイルの環境では遜色の無い日本でもそのような軌跡をたどるのだろうか? なかなかそうはなりそうにないとすると、選挙に関する国民の意識の問題か、日本のソーシャルテクノロジーの問題か。たとえアメリカのようには行かないとしてもこういった問題は避けて通れないだろう。
利用分野は選挙と商業的なプロモーションとは異なっても、土台となる手法やその処理サービスは共通であることは、両者とも今はコールセンターが担っていることから見ても明らかだ。商業分野のソーシャルテクノロジーはどうしても広告ビジネスに引きずられて、ちまちました提案になりがちだが、やはり国政選挙にも役立つくらいのソリューションを考える場も必要であろうし、そこで考えたコミュニケーションに関するソリューションは、きっと商業を含めいろんなことに役立つものになるだろう。
今回の選挙でも相当な税金を使っているわけで、赤字の日本としてはそれも何とかすべき問題である。議員削減とかが課題になるならば、ITで金のかからない行政をする可能性は大いにある。しかし単に運営費や公務員の削減だけが課題ではない。行政サービスこそソーシャルなものだから、民意が日常の行政に反映することをIT化の中で指向していけばよいはずだ。日常の問題からソーシャルメディアに馴染んでいく人が増えれば、国政レベルでも民意の予測がたてやすくなるだろうから、今民間が大金を使っている選挙の世論調査や選挙速報のTV番組の意味は薄れる。
つまり国政に関する世論調査などのクラウド化ができれば、いろんなシミュレーションが可能になる。今クラウドにおいて基幹システムでは手が回らないような分析やシミュレーションをしているようなことが、例えば今のコールセンターのデータやソーシャルのデータからできるならば、政策と民意のマッチングを考えやすくなるし、これらのフィードバックがかかりやすくなると、ショウ化し儀式化した政策議論抜きの「泣き笑い」選挙模様を国政選挙だと思う人は減るかもしれないと期待したい。
何はともあれいろいろな分野でソーシャルのビッグデータを処理する中で、今まで掴みきれなかったことが分かることに期待が集まる。一般のサイトでも登録者がある域を超えるとソーシャルの意味ははっきり出てくることは、最近のCookPadで明らかだ。直近の決算を見ると、広告収入の3倍近くにマーケティング支援の収入が迫っている。これは食材メーカーと一緒になったレシピコンテストである。最終的にどんなレシピが1位になるかは問題ではなく、どのようなプロセスとかコミュニケーションを通じて決まっていくのかが明らかで、その過程がIT化していればいろいろなマイニングの対象になりうる。マーケティングなら、どんなテーマに、どんな人が、どのように喰いついてくるのか、ということが今まで以上に把握しやすくなる。今こういったことが従来の広告の計測とは違う世界を作り出しつつあるのがCookPadでみられる。
分野ごとの直近のテーマや金儲けからくる縛りを離れて、ソーシャルテクノロジーという大きなものを考えたり、またそれを役に立つものにするクラウドなどを考えることも始まっている。