投稿日: Aug 21, 2012 12:38:8 AM
広告離れを感じる方へ
雑誌や新聞の広告に限らず、駅広告や電車の社内広告でもスペースが埋まらないようになってどれほど経つのであろうか。日本の社会が広告に対する期待感を失っている背景を理解しないままの、広告モデルのメディアビジネスが後を絶たないように思える。果たして広告には価値がなくなってしまったのであろうか? それとも従来と異なる視点なら広告の行く道は見えてくるのであろうか? 広告でも情報性があって、利用者が探し回っているものだってあるわけで、広告ビジネスをしようとしている人たちの考える価値と、実際の販売する場での広告の役割がバランスを失っている面があるのではないかと思う。
例えば夜に盛り場を歩くと道路に客引きが大勢立って道行く人に声をかけている。それとフリーペーパーなどの広告出稿やディスプレイやデジタルサイネージなどの看板類を比べてみると、どう考えても客引きの方が効果があるだろう。これには2重の意味がある。お店に客が居ない状態で店内にバイト君をおいておいても仕方ないので、それならば客引きでもチラシ配りでもさせて、客が増えた時間帯は店内で働かせれば、払った時給に対してムダがない。販促と店内業務という労働のシフトが柔軟に行われる。
今まで広告露出をしつつ、客待ち状態という2つのコストの折り合いをつけることはできなかった。少し両者に関連性が出たのがクーポン広告とかそのネットでの発展版である格安の共同購入であった。共同購入クーポンでは実質値引きをすることが広告費になっていて、取引の実態が伴わなければ支出はない。そこから考えると一般的な広告露出は効果のないところにも多くコストをかけていることになる。もし広告効果のあるところが事前に判別できるようになってしまったなら、ドンブリでビジネスできなくなるはずで、それがネットで突きつけられた課題である。
つまりECであれ店舗であれ、広告・販促の役割と価格バランスというのを考え直す必要がある。その基本は2つある。第1は、この商品はどこにどのように露出させればよいかという予測のシミュレーション能力である。客引きは生身の人間がそれをやっている。第2は成果報酬で、プロの客引きもそうであろうが、結局Googleがやってきたことと似たようなものとなる。まず前者のシミュレーションをするのに現在の広告営業マンは役に立たないで、旧来の広告代理店はITコストをどうするかが問題である。広告営業マンは経営からすると負の部分になりつつあり、アナリストやプランナーやクリエータになれない人は排除されるだろう。後者の成果報酬に切り替えるとおそらくは広告売上げが半減するだろうから、やはり人員整理しないと経営が成り立たないはずだ。
共同購入クーポンでも人海戦術の営業で拡大するようなやり方は、結局成果が得られないところまで営業することになって、価値と値段のバランスを確立することができない。旧来広告はまず媒体ありきで「高い着目率」のところに高い値段をつけるというバランスのとり方をしていた。それに対して今ITでやろうとしていることは、広告の前の問題として、ネットビジネスでもリアル店舗でも「高い成約率」をシミュレーションするようにビジネスを解析するサービスになりつつある。かつての広告業がマーケティングのサービスを行ったように、こういったサービスをできるようになるのだろうか?