投稿日: Feb 07, 2013 5:17:9 AM
顧客は独自性など関心がないと思う方へ
昔パソコンのSIMMを買い足していた時に、台湾や韓国のものはメーカーが異なっていても同じCADデータのプリント基板を使ってるものがあるのに気づいた。韓国で一流メーカーのものと無名のものとでも同じ場合があった。LSIの開発メーカーもリファレンス用のCADデータを配布することがあって、アジア製のPC関連製品はそれらに毛が生えた程度の設計で製品化していることが多かったのだが、自分たちの間でもCADデータのやり取りか流出か知らないが、人の設計の上に乗っかった製品つくりをしていた。ファームウェアROMデータを吸い取って部分的に使うようなことはどこでも内緒でやっていたが、CADデータのやり取りは堂々としたものだった。
中国にはそっくり製品が多いが、やはりPC関連で異なるメーカーながらプラケースの金型が同じものがあった。これは何通りかの可能性が考えられて、やはり金型CADデータが出回ってしまうことと、金型自体が使い終わると別メーカーに売られてしまう可能性、また射出成形のプラ製品を作るところが異なる周辺機器メーカーに同じものを売っている可能性である。いずれであってもライバルと同じ事を社内でするのではなく、流用できるところは流用するという考え方で仕事をしていると思う。日本では「IODATA」と「バッファロー」が流用をする関係にあるということは考えられず、結局はどの業界も似たものをそれぞれダブる形で努力しているといえる。それで差異のある製品が出来ているのならいいのだが、似た製品を作っているのなら、共通部分は流用して差異の部分に開発の重点を置いた方がよいように思う。
近年にPDFをPC画面でパラパラページめくりをするものとか、Flashの表示において韓国の製品のバリエーションが日本でも多く使われていたが、これらも大元の開発がどこかにあって、それに少しづつ特徴を加え派生製品が開発されて、また日本では全く別のソフトウェアのように平行して営業されていたようだ。これらは日本と韓国にまたがった開発会社があるものの、ブラウザのバージョンアップによる機能変更でダメージを受けるところが共通だったり、カスタマイズの要求も同じような制約があったりで、別にどこか大元があるのだなと思わされた。しかしそのような制約はあるものの、大本のモジュールがあっての派生製品の開発なので、その開発速度は速く、安く提供されたので競争力があった。
こういったモジュールの流用や組み合わせで製品を設計するのは時代の流れであって、スマホでもそのような組み合わせで成り立っている。逆に言えば日本はモジュールを組み合わせて新しい製品にするということでは、アメリカに遅れているのは当然ながら、アジア諸国にも大幅に遅れをとってしまって、小規模ベンチャーは些細な局部的な機能しか提供できなくなっている。もしモジュールを組み合わせることに長けたなら、小規模ベンチャーでもスケールの大きなビジネスプランができるだろう。つまり日本人の過去の習性であるちまちましたモノ作りには依存せずに、ビジネスの広がりの観点から開発設計を始めるべきであろうと思う。