投稿日: Nov 25, 2011 1:26:27 AM
エンジニアには修行が必要だと思う方へ
2011年の日本は3.11東日本大震災がおこり、経済活動の一層の低迷もあって、新たなビジネスを楽観的に考えることは慎む雰囲気もあった。この背景にはこの10年くらいの間にいろいろな国内産業がピークを超えて下り坂になっているので、相乗的に市場が縮小することが起こっている。アメリカも国民の平均値では上向いていないにしても新ビジネスで世界的に伸びているところがいくつもあるので、ベンチャーでひとつ当てようという機運は相変わらずであろうと想像できる。しかし日本は特に3.11以来、役に立たなくても面白がって盛り上げようという機運は、少なくとも投資側では影を潜めたのではないか。実際にIT投資をすればビジネスがうまくいくのではないかという期待感というか神通力は激減したように思える。また例えば地域おこしも中央官庁の助成やシンクタンク・広告代理店に金を払って見栄えのいいものをするよりも、アマチュアも参加してみんなで手作りイベントをすることが多くなっている。
だからパトロン探しのような技術ベンチャーは何重にも辛い時代ではないかと思う。ホリエモンの評価を見ていると日本ではベンチャーとマネーゲームの区別がついていないようだが、専門性を下地にしたユニークな技術コアを、それらで大きくマネタイズしようとする人々にアピールするという、アメリカ流のベンチャーが挑戦をする場は日本にはあまりない。そこでベンチャー自体がマネーゲームをするようなことが起こる。アメリカの場合は逆にベンチャーがマネーゲームの駒にされてしまって、ベンチャー創立者は売り逃げできても、そこで働いていたエンジニアは翻弄されて終わりになる。ちょっとコンピュータが得意だからといってビジネスで珍重される時代は終わったのである。
日本のベンチャーをみていると、殆どは創立者が売り逃げもできなければ、努力していたエンジニアもなかなか一貫した仕事の積み重ねができず、派遣労働者とたいして変わりがない場合がある。では好きなことでノウハウを蓄積したいエンジニアとか将来に起業を考える人はどうすればいいのか? 結局アメリカは理科系に人気がなくなってしまって、アジアからの移住者や出稼ぎエンジニアが増え、インドやアジアにアウトソーシングするようになってしまった。韓国や中国でもアメリカのITサービスと同等のことを国内でやっているように、ITスキルでいうと日本が勝っているところは一部のニッチな分野でしかなくなってしまった。日本でのビジネスの選択肢は2つしか残っていないように思う。
第1は他国がなかなかできない特殊な分野であり、これはそもそもすごい専門性が必要で、多くのエンジニアにはあてはまらない。第2は日本の利用者により近づいたサービスを開発することである。これはどんなビジネス分野にも当てはまり、例え世界でAmazonが合理的な方法でビジネスをどれだけ伸ばそうとも、Amazonがサービスの満足度でトップになることはないように、攻めどころはある。しかし満足度を高めるのは試行錯誤の繰り返しで日々汗をかかなければならない。そういう指向の組織や職場であるならば、アルバイトでもラインの仕事でも、ビジネスのノウハウを経験として積み重ねられて、それに各個人の着想とかが加われば、独自性のある起業の機会があるかもしれない。
つまり、まっとうなビジネス経験とか、地域おこしのコラボレーションとか、経営が発展するベースを理解した上で、ITでもメディアでもプロモーションでも独自性を発揮するようにならないと、日本のエンジニアはアジアのエンジニアにも負けてしまうことになるだろう。