投稿日: Apr 16, 2014 1:8:49 AM
人生と音楽と
CDが安い!駅などで500円のCDを売っていたのは、安売り用に編集されたものとか超ありきたりのオールディーズであったが、近年になってかつての名盤みたいなものも続々とCD復刻されて、多種多様なものが非常に安く出回りつつある。著作権者の死後50年とかは経っていないもので海賊版でもないものが香港・中国からアメリカに入っているようだ。こういう名盤の廉価復活はJazzの世界では昔からあるが、R&B、ソウルやbluesでも名盤はそうなりつつある。
日本のレコード会社も1000円シリーズで非常に沢山の名盤を出しつつあるが、上記のアメリカ市場では500円くらいでも相当の種類がある。こうなると1曲100円でダウンロードする人は減っていくのではないかと思う。今音楽ダウンロードから聴き放題サービスに移行しつつあるというが、CDの場合は音楽ダウンロードから個人コレクションに戻るようなことが起こるのではないかという気がする。いずれにせよ1曲100円というビジネス形態は難しくなろう。
これは単に安売りで市場が混とんとするということではなく、20世紀音楽が人々の身近に残り受け継がれていくための社会的なアーカイブであるともいえる。また著作権者の死後50年とか70年の保護期間があったとしてもそこでの印税の相場は微々たるものであることでもある。著作権フリーとの違いは、同じものがあちこちから出るということが無くなるわけで、買う方からしても曲のダブった似たCDがいっぱいあるよりも、出所のはっきりしたものが安価に入手できる方がコレクションしやすいだろう。20世紀音楽に関しては自分の音楽イクスペリエンスをCDコレクションとして再構成できるようになりつつある。
音楽ダウンロードが始まった時に、CDの山にうんざりしてた人には朗報に思えた。CDをすっかり処分してしまった人も多くいるのだろう。私も、私の子供もCDをせっせとリッピングしてパソコンに溜めこみ、普段はiPodの類で聴くようになった。わたしは趣味嗜好が固まっているのでいちいちPlaylistを作成するのだが、子供はそんなことはせず気分とか思いつきで聴いている。つまりラジオとか有線のようなものを欲しているのだろうと思う。
つまり音楽メディアは、受け身で垂れ流し的な聴き方をする世界と、目的買いで自分の音楽の世界を構築しようとする、2つのマーケットがあるといえる。流行など大衆的な嗜好の変化に乗ってヒットを狙う世界は前者であって、それが時を経るにしたがって嗜好のフィルターで濾過されて、各個人のパーソナルな世界になるのだろう。
ネットの音楽サービスは垂れ流し的な聞き方には対応していると思うのだが、個人がフィルターするとか再構築するということに関してはまだ何のサービスもないので、CDによるコレクションに戻ってしまうのかもしれない。