投稿日: Jul 03, 2010 12:37:30 AM
メディアの分類が分かりづらくなった方へ
通信インフラが整った先には今度は「コンテンツ」が社会のインフラになることを、『「コンテンツ」が次の社会インフラ』で書いた。それは現状ではWebでタダで多くの情報が見れるようになっているが、さらに過去の紙の資産として残っていた図書館や古本屋にあるものが検索可能になろうとしている。国によっては古典は国民の共有の資産としてデジタル化して解放しているところもある。こういった流れは今までの有料のコンテンツビジネスと軋轢が起きるところがあるので、有料でビジネスするための前提をもう一度考え直さなければならない。そこで「コンテンツ」の分類をもう一度考えてみた。
ここでは従来の売価を付けたという意味の「有料」と区別するために、金を出す価値があるという意味でA:プレミアムとし、プロが作成しても販促など無料で提供するものをB:フリー、過去の資産をC:アーカイブ、ビジネス目的でないのをD:ソーシャル、とした。またメディアの種別を、1:紙、2:eBook、3:Web、4:Video としてマトリックスにすると、
1:紙 2:eBook 3:Web 4:Video
A:プレミアム 印刷物 出版 有料site NHK・衛星
B:フリー 印刷物 広告 (メイン) 民放
C:アーカイブ 復刊 再発売 青空文庫 YouTube
D:ソーシャル 同人誌 自主出版 SNSetc Ust
今話題なのはA2:電子書籍で、A3:日経新聞などもビジネス拡大を狙っている。ビジネス化ではスマートフォンやiPadがB2:広告モデルに力を入れようとしているが、近年動きが急だったD3:SNSやC4:YouTubeがマスメディア並みの影響力をもってきたものが、まだ広告とはしっくりいっていない。総じてビジネス化という点ではまだネットもコンテンツも暗中模索である。ビジネス化を優先に考えるよりも、ライフスタイルの中での新しいメディアの位置づけを考える方が基本であろう。(そのようなイベントが少なすぎる気がする)
電子書籍が話題になりやすいのは、旧来メディアの皮をかぶったようなスタイルなら利用がイメージしやすいからだが、ビジネスにはかかわりの少ない部分から動くのではないか。リアルに紙を使うC1をC2に、D1をD2に誘導しすることを容易にするだろう。これは逆も可のはずだが、C3を紙の本にするとか、D3:SNSやBlogを本にするのがそれほど盛り上がらないように、旧来メディアにはなかなか恩恵が無い。C1のオンデマンド本による復刊もなかなかブレイクしないがC2が盛んになれば再チャレンジされるだろう。D1はフォトブックのような形ではライフスタイルに定着し始めている。Facebookではこの分野も写真共有としてブレイクしているが、日本での写真SNSはまだ未知数だ。
それよりむしろこれからブレイクしそうなのは、D3→D4のような流れであろう。C4:YouTubeでも自主番組・自主コンテンツが増えてきたので、YouTubeよりも敷居の低いD4:Ustは有望だ。しかし両者の「重複x棲分け」問題はこれから重要なテーマかもしれない。Video作りのリテラシーは、ガジェット指向の金持ちオヤジよりも、やはり若者の方が高いようで、品質よりも企画力・機動力が決めてのようだ。オヤジは画質にこだわり、点数は少なくても自慢できるものを指向するだろうから、若者が流動的なUst、オヤジが検索に優れるYouTubeという方向で進むのかもしれない。