投稿日: Jan 23, 2011 11:55:14 PM
発明はできても普及は難しいと思う方へ
twitterは自分でリアルタイムメディアと称して、単なるソーシャルメディアと区別している。Google検索でもリアルタイム検索として検索語のfeedがそのまま表示される。先週のある朝に大江戸線人身事故があったことをTVで知って、twitterで対応を追いかけたが、振替輸送も復旧もTVよりもtwitterの方が早く伝達した。しかしTVでは余計なことは報道しないのに対して、twitterの方は最新情報だけでなく、ちょっと古い情報を繰り返すtweetも少なからずあって、よく見ないとどれが最新情報であるのかわからない面倒くさいメディアでもある。
また黒部ダムの排砂で富山湾の漁業が影響を受けているというTVのドキュメンタリー番組で、有機物が多く湾に排出されてヨコエビが増えたという報道につれて、このことがtweetされていくのと平行して、Googleでのヨコエビの検索が増えて一時は検索語のトップになった。こういったいろいろなメディアの組み合わせは面白いものの、使う人にかなり負荷がかかるのは事実で、そのまま大衆的に広まるはずはない。そういった間を埋めるのがこれからのスマートTVになるのかもしれない。
Googleの非常に大きな貢献にドキュメントのアーカイブがいくら膨大にあろうとも検索可能になるということがあり、デジタル化すれば文書の死蔵は防げることや、過去の人類が残した全文書のアーカイブも可能であることを人々の印象づけた。従来アーカイブの構築の難しい点は、いったい誰がどれだけ利用してくれるのか、ということが読みにくいことであったが、適切に文書をデジタル保管さえすれば、利用面は別途に発達してくるところに委ねることができるようになった。
こういった状況があるならば、TVや新聞雑誌のようなマスメディアにとっても、次の段階のメディアサービスを考える際に、リアルタイムメディアやアーカイブとの相互関係を前提としたものに向かうだろう。たとえばスマートTVなら既存の番組を中継することよりも前述のようなクロスメディアの新しい提案がないと魅力が感じられない。しかし電子書籍のソーシャルリーディングのように機能ばかりを売り込んでも生活者のスキルとは乖離してしまう。このような利用者の対応力と新機能の兼ね合いがうまくデザインできると、あらたな「メディア」に結びつくのだろう。
つまり今風の「メディア」というのは何らかの編成・編集がされていることと同時に、利用者を新機能にナビゲートする術を提供するものであると定義してもよいだろう。