投稿日: Jul 28, 2014 12:9:5 AM
日本のアニメとか漫画の一部は世界的にも通用するので、クールジャパンの戦略の中にも組み入れられている。しかし日本で人気のものを売るという姿勢では商業的には成功しにくいだろう。伝統的な日本のグラフィック力を活かしながらも、海外向けのマーケティング戦略をたてて、それに合わせて作品を創り出して提供するようなオーソドックスな戦法が必要だろう。
オークションに時々日本の古いブリキのオモチャが高値をつけていて、そういうマニア市場があるのだなということは以前から知っていたが、いろいろ観察すると伝統とマーケティングというテーマで研究する価値がありそうに思えた。すでに長い歴史のあるビンテージ市場のようなのでブリキオモチャの専門家もたくさんおられるだろうが、あえて素人的にバッサリ整理すると、第2次大戦後に Made In Occupied Japanとしてゼンマイ仕掛けの動くブリキのオモチャがアメリカに出回っていたことがわかる。
これらはいかにも日本に昔からあるカラクリのオモチャであって、日本にとっては伝統芸なのだろうが、アメリカには相当新鮮に思えたのであろう。もっとも私の子供の頃もこういったオモチャには関心があったし、今でもどこかで作り続けられていて、人類みんなに共通する娯楽なのだろう。
これらの後を追うように出てくるのが次の写真のようなゼンマイオモチャ群である。
これらはアメリカのコミックや漫画を意匠にしていることがわかる。つまり戦後に進駐軍によって日本に持ち込まれた文化をヒントになんとなく見よう見まねで伝統玩具を作り変えたと思われる。テレビ放送が始まるとアメリカのアニメが放映されて人気を集めるが、その中に出てくるキャラクターのアクションを真似たような、自動車の運転とかドタバタの動きをブリキの人形にしているものも多くある。アニメのオモチャ化である。
これらは日本人にとっても新鮮ではあったが、それ以上にアメリカの子供ウケするであろうと狙ったものであることがわかる。こういうことを通じて日本のオモチャ産業の技術力がアメリカに評価されていったはずだ。この頃の製品がもっとも生き生きしているように思える。
この後は電池式のオモチャの時代になって、さらに複雑な動きをするものが登場するのだが、アメリカのアニメ番組の主人公やシーンと連動したような箱入りのオモチャが増えていったのではないか。こうなると日本人の創意工夫は技術面だけで、意匠デザインはアメリカで作られたものをそのまま使うことになってしまう。
言い方をかえると下請け仕事になって、アメリカでは大々的に発売されるものとなる反面、日本はマーケティングをしないような時代になってしまう。そして工業生産拠点という点では最終的にはアジアに移ってしまう。
その後だいぶ経ってゲームの時代になってマリオのように日本初のキャラクタが世界に出ていくようになる。クールジャパンはその延長上にあるのだろうが、マリオが世界に売れたからといって、日本のキャラクタがみんな世界に通じるはずだと考えるのは間違いだろう。クールジャパンはもっと謙虚に売り込み対象国の嗜好を研究してウケ狙いから始めるのが正道だと思う。
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