投稿日: May 01, 2014 1:2:53 AM
忘れてしまわないために
韓国の旅客船が沈没した際に、乗客の高校生たちがスマホなどで発した情報とか画像、あるいはこれからも沈没船から引き上げられるであろう遺品、それらは個人や遺族のプラベートな情報であるが、報道機関が取材した情報よりもずっと重いものであって、これからの善後策のためにも社会的な意義をもつものがある。
とりあえずは救助された方や関係者への取材番組などを通して社会に知らされて、それに人はいろんな思いを寄せて、語ったり書いたりするのだろう。これは大震災でも9.11でも同じである。事件・事故から少し経つとニュース報道の価値は殆どなくなってアーカイブに役割が変わり、思索を重ねるための情報に重点が移っていく。
アナログ時代からニュース報道は新聞・雑誌はアーカイブされるものの、電子媒体ではテレビもネットもちゃんとしたアーカイブはない。テレビのニュースの中でインパクトのあるものはYouTubeに勝手にあげられたりするが、その後は消されてしまう。テレビ局自身が動画クリップを流すことも一部はあるが、後の思索のためのアーカイブには遠く、個人が録画しておくとかYouTubeをキャプチャするのが現状である。
しかもネットに出た報道も殆どがアーカイブにはならずに、しばらくすると消えていく。Web魚拓というのがあったように、これも個人がキャプチャしてアーカイブするしかない。HTML・XMLの世界はメタ情報としてタグが使えるのだが、個人が記事でも動画でもキャプチャーして置いておくのに、自分でタグを追加するとか、あるいはクラウドソーシングと連携してタグを豊富にしていくとか、リンクを充実させるとか、HTML・XMLを2次加工するツールというのは非常に遅れている。おそらくこういった情報を専門的に扱う学術研究機関でしか、そういう処理はしていないかもしれない。
つまり新聞・雑誌以外のデジタルのソースを対象にした社会学の領域では何らかの検討がされているのだろうと推測するが、昔は個人でも新聞雑誌の記事を切り抜いてスクラップブックに貼っていたようなことをデジタル情報においても行いたいというニーズはあるはずである。しかし表だってこういうことを要望しても著作権云々で粉砕されてしまうのは目に見えているの、ツール作りに手を付ける人が少ないのではないだろうか。
そうはいっても大きな事故や事件、惨事の場合は関連した人が大勢いるわけだし、社会的な課題もそこにはいっぱいあるので、その人たちがそれぞれ自分で情報をキャプチャして整理しなければ情報の把握ができないようでは問題ではないか。やはりフェアユースで個々の著作権を乗り越えて、当事者のオリジナル情報から、報道資料、関連blog、報告書などを横断的に扱える「まとめ」の道具が必要になると思う。