投稿日: Mar 26, 2012 11:42:35 PM
新iPadが何をもたらすかと思う方へ
iPadが300dpiに近い高精細ディスプレイになって、紙よりもきれいに画像を表現でき、小さい文字も表示できるようになった。以前にIBMからデスクトップPC用に300dpiの液晶ディスプレイが出ていて、緻密に表現されるのはよいが、ビデオボードが普通のものでは使えないとか、画面の左右のドット数が上がってしまったのでOSなどの文字表示が小さくなりすぎてすごく使いづらいものであった。要するに従来の100dpi弱の解像度から3倍に上げることは表示回路やOSの対応が必要になるのである。
今回のiPadは表示が高精細になっただけで、元の画像の情報量が増えていなくても(おそらく回路で補正して)処理速度を落とさずにきれいに見せていると思う。プロセッサのA5Xの内容は公開されていないがGPUにデュアルコアが2つ使われているようで、画像・映像表示において今までの端末に無いような性能を出すことを狙っていることがわかる。ただしまだどういったことができるのかというアプリのサンプルは無い。
私の推測では、少なくともHDTVやプレステなどのゲーム用CGの範囲をカバーすることをAppleは狙っていて、従来のiPadならそれらのコンテンツを持ってきて表示するとダウングレードになってしまったものを、逆に新しいコンテンツをiPad対象に開発させるような状況に持って行きたいのではないかと思う。つまり企業としてSONYを抜くだけではなく、ビジュアルのクオリティでもSONYを抜くことが Steve Jobs の願いだったのではないかと思う。
しかしそこまでに到達するには、まだA5Xでも機能は不足で、今後A6…とかが出てくるのかもしれない。それまでの間は、今まで高級な表現はオフセットの高精細印刷で行なっていたような、静止画とか静止画ベースのサイネージのようなものが新iPadでもっとも見栄えのするアプリになるのではないか。これは写真集のようなものから高級カタログ分野になるだろう。またGoogleのストリートビューのようなウォークスルーのアプリもいろいろ出てくるだろう。例えば地図上で辿る道筋を指でなぞると、その間の光景が動くストリートビューのように映像化されるとか、今までCGやゲームの世界で見られたものが、商用のアプリケーションにできる時代がくるかもしれない。
すでにARが案内に使われているが、いろんなビジュアル要素がクロスするような試みが増えるはずだ。その中で電子カタログの意味や位置づけも変わってくるだろう。