投稿日: Dec 19, 2013 11:9:14 PM
紙メディアにチャレンジしているのだろうか?
かつてPlayboy誌を訪問した際に、編集長が弁護士出身で、記事の法務面でのチェックを重視していたことを、記事『情報の評価力』で書いた。紙の出版物では記事に関して訴訟になる場合がしばしばあったが、Webではクレームがつくとその場で記事を書き換えることができるし、また記事を削除して人が知らない間に葬り去ることも簡単にでき、そういったことで訴訟を回避している面がある。
これらが逆に記事を書く際の安直さにつながっている面があって、ライターさんの支払いも紙に比べて下がっている。こういうことをしていると記事の水準は下がっていく。
3.11東関東大震災の際に福島原発の水素爆発を「水爆」だと勘違いして書いたものがあった。顕微鏡の画像をパソコンに映し出すものを電子顕微鏡として紹介しているものもあった。これらは極端な例だが、何々News、何々速報などのWebメディアで、「すごい!」というものの殆どはどこかにあった記事の引用であって、結構古いネタであったり、知っている人は知っているネタであったりする。それらが例えば今日クラウドソーシングなどのネタになることで、発明であるかのように思われることもある。
読む人も素人だから、「すごい!」と思うことも自然だし間違いではないし、害はないのだろうが、問題は編集者が気づいていない点である。
特に翻訳記事の場合は内容チェックがしづらいし、また元記事が日本のことを知らなさ過ぎるので、秋葉で売っているものでも、「現在開発中」になっていたりする。ソーラーセルでアメリカの某大学で開発中というものよりも、遥かに進んだものが日本では発売直前ということがあって、さすがに日経では取り上げられなかったが、WiredNewsなどでは翻訳のまま出ていたことがあった。
つまりNewsをWebで流す目的は何なのかということである。何々News、何々速報の場合はページビューを稼ぐことが目的で、記事そのものの信頼性はどうでもいいのだろう。素人にインパクトを与えるネタなら何でもいいのかもしれない。しかしそんなメディアつくりばかりしていると、編集者は内容理解をしないし、しかもググッて内容確認もしていないのだから、編集能力向上にもならない。
ネットのメディアに携わる人が必ずしも紙のメディアを超えようとは考えていないらしいことは明らかだ。