投稿日: May 11, 2010 9:12:40 AM
ECや電子書籍の覇者が誰になるのかと思う方へ
電子書籍が話題だから、ちょうどいいので電子書籍の例でいうと、電子書籍の登場が社会的に善か悪かを人々はまず考えるべきだろう。この答えは明白で、メディアが増えるほど人が情報に接する機会が増えるので善のはずである。しかし悪い情報も増えるのではないかという人もいるだろう。今日のネットの情報システムはWikiのようにラジカルトラストの上にあるので、誰でもサイトの開設ができても問題はないと思わない人はネットの利用を避けるべきだ。しかしECやソーシャルメディアの発展は暗黙裡にラジカルトラストの浸透を既に現わしている。
またネットの進展で被害を被るという訴えもある。ネットが社会秩序をよい方向に持っていくなら、そのしわ寄せがどこかにあっても、全体プランは変えずに対処療法するしかない。穿った見方をすれば、社会秩序を変えたくない人が、被害者を先頭に立ててキャンペーンすることもある。薬禍被害者と改正薬事法のネット規制のように。電子書籍が秩序を壊すとしたら、強大メディアの世論操作力を減衰させることぐらいしかない。あとは枝葉末梢なことでラジカルトラストが機能するように配慮すればよい。
何度も言っているが出版の特徴は多様性にある。生物に多様性が必要なように、出版の多様性は社会の健全さと結びついている。生物の多様性はバクテリアからヒトまでの大小さまざまな生態系のバランスによって保たれている。実は出版は初期経費がかかるのでバクテリアや微生物のところは社会に現れにくかった。しかし今ソーシャルメディアの登場で大小さまざまなメディアが共存できるようになりつつあるので、うまくお互いが連携・補完して、安定した生態系を作れるのではないかと思えるようになってきた。生態系の安定とは中小もそれなりに居場所をもつ状態をいう。
つまり誰もが富裕層を狙ったビジネスができるわけでもなければ、広くあまねくビッグヒットを当てることもない。出版であろうとともECであろうとも、多様性の上に健全な発達がある。そうなる社会が健全でもあるのに、それに掉さすのは馬鹿げている。