投稿日: Apr 07, 2015 1:19:33 AM
昨晩eBayを見ていたら、ミルウォーキーの黒人向けラジオ局から出たと思われる1970年代の45rpmレコードを沢山出品している人がいた。この時代の特長として多くはfunkでインストがかなりを占める。半数くらいはシカゴやデトロイトなど近隣の都市のラジオ局にもあったようなレコードだったが、まるで知らないレコードが半数近くあり、驚きだった。それらのチェックのために夜更かしをしてしまった。こういう地域的なレコードを日本に居ながらにしてチェックできるようになったネットの時代は素晴らしい。今まで埋もれていた情報に接することができると、いろいろな疑問が少しづつ融けていくし、新たな疑問や興味も湧いてきて、なにしろ飽きない。
MilwaukeeのあるWisconsin州はChicagoのあるIllinois州の北にあり、Chicagoから自動車で2時間弱の距離にも関わらず、その地域内でしか知られていないレコードが数あるというのは、黒人大衆音楽に関しては独自の世界をもっていることになる。普通の人が音だけ聴けば他と同じようなsoul/funkだと思うのだろうが、ミュージシャンの固有名詞を追いかけている執拗なファンからすると、知らない人やバンドがどんな個性とか力量をもっているかが関心の的である。それからするとMilwaukeeの黒人音楽シーンは知られていなかった割には実力が凄いなあと思う。
Milwaukeeの市域はおそらく50万人くらいだったと思われる。Milwaukee郡となるとその3倍くらいか?人口の半数は白人で3分の1が黒人だろうから、Milwaukee一帯の黒人の数およびそれはラジオ局の対象でもあるのだが50万人くらいだったと想定される。かなり市場はあるように思えるが、Milwaukee中心に販売されるレコードというのはどれくらいの数が作られたのであろうか?一般には数千枚、ちょっと話題になって他地域にも広がれば数万枚かもしれない。しかしそんな規模でも曲作りのクオリティは高い。流行を生み出すような「何々サウンド」という特徴はないのだが、大音楽産業が仕切る音楽の中心地などなくても各地でミュージシャンが育って、音楽の継承がされていることがわかる。
おそらく探せばMilwaukeeソウルのコンピCDの1枚や2枚は見つかるだろうが、それは氷山の一角でしかなく、こういうラジオ局やJukeBoxの放出から丹念に拾い集めないと過去の地域ミュージックは解明できない。私が過去に1枚だけ手に入れた人で、Cobie Payne, Joe Payn, Cobie Joe Payne, などの名前でレコードを出している独自の唄いまわしをする人が、地元では何枚もレコードを出していて、その曲名のダブり具合から、ローカルヒットも持っていたらしいことが推測できた。その曲はおそらく世界的には売れるものではないのだろう。しかしそれらを通して黒人音楽の土壌を知ることは、少しでも黒人の音楽感に近づけるのではないか、という想いがある。
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