投稿日: Oct 28, 2013 12:23:2 AM
ビジネスのIT環境は進展しているのか
オープンソースの普及により、いろんなツールやアプリがタダ同然になりつつあるが、それを活かしてどんどん優れたシステムが作られるようになったかというと、必ずしもそうではない。ただ、一部にはホームページ作りやBlog作りの大変優れたシステムが無料化されていて、その分野の過去のITビジネス(特にSIer)の見積もりが無効になっていく。本来ならば無料化されたモジュールを活用して、さらに高度なシステムに挑戦していくはずではなかったか? アメリカのクラウド利用というのはオープンソースの進化の先にあるという点でも好例であると思う。
日本でシステムが高度化しにくい理由は、マネジメントの能力の問題であろう。たとえ無料のツールやアプリがあったとしても、それを導入・運用するためには利用者の人事・配置転換や環境を整えなければならないし、旧来の業務からの切り替えや、データの流用など他のシステムとの関係再構築が必要になる。
こういったプログラム以外のマネジメントにかかる費用は直接見えないものであるが、当事者にとってはシステム革新の障害に映るものが多くあるだろう。だから新システムのプロジェクトマネジメントとあわせて、システム発注側・利用者側にもマネジメントの負担がいろいろかかってくる。それを乗り越えられる組織であるのかどうかが、システム革新ができる、できないの分かれ道になっているだろう。
現実にはいくらIT環境が新しくなったところで「やっぱりCOBOLがよい」みたいな話になるわけで、別に好きな人は死ぬまでCOBOLを使っていればいいわけれども、それでは金の計算以外のサービスを拡大するのは難しいだろう。要するにITで仕事の価値を高めることは考えていないで、リスクを回避しているだけではないのか。記事『宣伝の一人歩きの弊害』では伝票データにコンテンツ情報を入れるようにすれば、トレーサビリティとか検索とか、また今後はビッグデータ処理とか応用が広がることを書いたが、部門業務の局所最適ではなく経営の全体最適の考えがないと、システム革新には取り組めないだろう。
そのためには、システム移行・運用上の見えないコストがなるべくかからないように、IT環境の整備を普段から心がけていなければならないわけで、そのひとつは標準化の導入である。過去のシステムに独自の要件があればあるほど移行には負担がかかるわけだから、システムを移行する前からなるべく標準技術で運用できるようにしておかなければならない。
またマネージャそのものの適性も似たことが言えて、局所最適の人ではなく経営の全体最適を考えている人でなければ、利用環境がいくら新しくなっても業務のアウトプットは一向に上がらないものになってしまうだろう。