投稿日: Jul 08, 2013 12:23:35 AM
皆で楽しむサブカル
音楽でも出版でも、大ブレイクして億万長者を産み出すとニュースネタとなって語り継がれるが、実際のところは昔から大多数は儲からないのにやっていることは変わらない。音楽では典型的だが、なぜ儲からないのにやるのかといえば好きだからということになる。文芸では同人誌というのがそういうものであったが、マンガの時代になると同人誌にあきたらず、コミケのようなイベント化が起こったのは、個人が好きでやることの延長に、皆でやる祭りに発展したからだと思う。ちょうどネットのお祭り性(ニコ動から炎上までも含めて)ということがあるので、従来のマスメディアによる中央制御のメディアから、今後は PeerToPeer なコミュニケーションとして、若い人に定着しつつあるのに同期してお祭りメディアが発展する。
今や日本のサブカルのファンは世界に広がっていて、日本のコンテンツもそこそこ売れるようにはなってきているのだろうが、今後も日本のコンテンツ輸出に過大な皮算用をする cool japan には見落としている点があると思う。世界の人が日本のコンテンツだけを求めているのではなく、サブカルにおいてはコンテンツをネタに皆でお祭り騒ぎをするのを楽しんでいることを、本当に判っているのかどうか疑問だ。2次創作というのも皆で楽しむモードの一つである。
だから日本のコンテンツが世界的に流行ったとしても、その後は2次創作とか、自分たちでコミケのようなものをやりだす、という方向に進むはずである。確かに日本ファンも着実に増えるとは思うが、それ以上に彼らが馴染んでいるものがテーマに採り上げられるようになるだろう。
ロスアンジェルスのアニメEXPOに33000人が集まっているというニュースがあった。そこにはコスプレの若者が多数集まっているのだが、考えてみると元々彼らは仮装行列としてそのような事をする文化をもっている。対象がサブカルになっただけである。特に必ずしも人に知られていないものに扮した場合に、「それ、なに?」ということでコミュニケーションが発生する。だから今はまだ日本のコンテンツには希少性があるから採り上げられやすいのだろうが、別にそうでなくてもよいはずである。
ちなみにグッズの販売では本物の日本刀も売っていて、さすが武器の国アメリカだと思った。アメリカ人のニンジャやブシのコスプレには気をつけよう。
つまりディズニーコンテンツのような誰でも知っているテーマだけでは、多様なお祭りはできないのである。日本の漫画においても流行作家・作品を核にしたイベントが行われて、それはそれで人を集めるのだろうが、皆で楽しむための題材を提供することも、これからのコンテンツビジネスには必要になるだろう。