投稿日: Oct 06, 2014 2:11:45 AM
博報堂の「コンテンツファン消費行動調査」という調査が公表されているが、仕方ないのだがマスマーケティングのための資料であるので、トレンドの何かを捉えきれていないのではないかという気がする。これはコンテンツビジネスラボというプロジェクトの仕事で、https://formconsulaction.hakuhodo.co.jp/public/application/add/48 にサンプルがあるというが私はダウンロードしていない。する気が起こらないのである。
調査自体はオーソドックスなもので、『新しく興味深いコンテンツを探し求める層(「コンテンツハンター層」と呼ぶ。いわゆるアーリーアダプターと言われる方々)」と、「Ⅱ.同層の後を追いかけ世の中のヒット現象そのものに反応する層(「ヒットライダー層」と呼ぶ。いわゆるフォロワーと言われる方々)」の2層が存在すること、ヒットの条件として国内で1160万人いると推計されるヒットライダー層を巻き込んでいることなどが分かりました。』ということで、従来のヲタク・マニアと一般のコンテンツ消費者の特徴を説明している。フォロワーである「ヒットライダー層」は、コンテンツ利用者全体の26.1%を占め、そこが動くとヒットとなるという、当たり前のようなことである。
フォロワーと言われる層は、自分の判断でコンテンツそのものやストーリーには反応せず、友人・知人とのコミュニケーションを目的にコンテンツを消費する傾向がある。だからヒットを作るにはコンテンツの周辺情報にSNS等を通じて定期的に接触してもらう機会を作る必要がありそこに広告代理店の役割もあるという考えである。これは従来から販売促進として雑誌やテレビのパブリシティを利用するのと同じことだと思う。ただ従来メディアの雑誌やテレビは対象がはっきりしているのに対して、SNSは漠然としており、どれだけの投入をするとよいのかが分かり難い。そこをモニター調査によって具体的に数値化して捉えるようにしているもので、ASCII総研のコンテンツマーケティングと似たものである。
この調査にあまり関心が持てない理由は何だろうかと考えたのだが、やはりあまりにもマスマーケティング的でありすぎる点だ。ヲタクなどのコンテンツハンター層をトップにおいて、そこから大衆的に波及するモデルを考えているのだが、実際はその上にコンテンツクリエイター層というのがあって、そこが非常に活性化し入れ替わりが激しいのが若者向けコンテンツビジネスの特徴である。
そしてネットの時代にはクリエーター層を抱えるところが出版社やテレビ局や芸能プロやレコード会社などには限らなくなる点で、マスマーケティングとは異なるビジネス形態が登場しつつあるとか、またいろいろ試行錯誤されているところである。そういった既存の枠組みではない世界は未だ小さいのは事実だが、ヲタクさんたちにはもはやAKBなどには見向きもせず、世界のコンテンツに目を向ける人たちも増えてきているので、既存のコンテンツビジネスとヲタクの関係が変わっていくと思うのである。
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