投稿日: May 17, 2015 11:54:21 PM
以前は大阪府に住んでいたこともあり、ちょっとは関心をもっていた橋下氏の大阪改革ではあったが、マスコミのニュースを時々見るくらいでは争点が何であったのかがよくわからない。2重行政という面は確かにある。それは東京にもあるし、サッチャーさんの時にロンドンでも話題になった。大阪でいえば、府立労働会館と市立労働会館を間違えて出かけてしまったこともあった。こういうことは大阪に限らず意識されてきているので、国と地方ブロックと居住圏という3重の行政の役割分担をもっとすっきり整理して日本中の行政の簡素化をしてもらいたい。
つまり行政の簡素化議論というのが行き着くところだと思うのだが、その具体的な提案が橋下氏からどれだけあったのか私は知らない。漠然と大阪に「都」をつけた名称にすると立派そうだ、くらいにしか映らなかった。また橋下氏に反対する既存政党の反論の理由は、「今のままでも2重行政は是正できる」というものだったが、それも具体性を欠いているような気がしてならない。できるのにやらないのは何故だ!と思うからである。
地域行政の話は徹頭徹尾が具体論であるはずで、それと並行して普遍的な政策を考えていかなければならない。なぜなら必要に迫られた具体論だけでは矛盾や対立が避けられないから、もっと俯瞰した議論をしなければ収拾できないことになる。だから橋下氏が投げかけた大阪都構想は、賛成か反対かというだけではなく、その前提をとるならば、地域の皆さんが実際に抱えている「各論」がどのように位置づけられるのか、というような具体的な争点をいっぱい話し合う機会になったはずであるが、実際にどこまで議論があったのだろうか?
橋下氏も大阪の改革が本当にやりたいのなら、簡単にやめてしまうのは不思議であるし、また反対した方も現状で2重行政を是正して見せなければ、橋下氏に本当に勝ったことにはならない。
住民投票の開票速報を見ていて、反対が上回る区の寂れた様子が目に浮かんだ。既成政党はこの20-30年間にうまい政策ができなかったことは事実なので、橋下氏が引退してもやはり地域政党がもうひと頑張りしなければならないのではないかと思った。
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