投稿日: Nov 07, 2012 1:57:51 AM
マスメディアの力が強く出ていると思う方へ
前回のオバマ大統領の登場時にはソーシャルメディアが盛り上がって、それ以前では考えられないようなアフリカンアメリカンの大統領が誕生した。このことはメディアが大統領選挙を変えたことを意味した。民主党と共和党という2大政党が国民的セレモニーのような選挙の枠組みというのを作っていた。つまりアメリカ国民の浮動票部分は各地で展開される儀式に参加して政党や大統領候補から発せられるメッセージを聞いて投票を判断するのだろうが、メッセージそのもの以外に盛り上がり感というのも期待値に関係していて、みんなが期待している度合いが高いときっとアメリカはうまくいくという安心感がでてくるのではないかと思う。
当然ながらマスメディアでも大統領候補の広告が出ているが、マスコミ対策は主としてパブリシティ、つまりメディアにどのように取り上げられるかの要素が大きくて、いわゆる舌戦とかディベート的なオピニオンのぶつかいあいが、国政についての教育にもなっている。まあしかし、テレビや新聞で表現できる内容は大まかなことだけで、それはそもそも2大政党の主張なのだから、その政党の誰が大統領候補になっても大差はないものだと思う。繰り返し言うが、そのような茶番を通じて、2大政党は大衆にもわかるように政策を噛み砕いて伝えているともいえる。
しかしオバマ大統領の時は少しそれとは事情が異なった。アフリカンアメリカンの大統領候補だから期待されたことが圧倒的勝利につながったと思う。その時に馴染みのなかったアフリカンアメリカンの政治家の人となりを知らしめたのがソーシャルメディアであった。つまり口コミでオバマ氏の信頼感は高まっていった。しかしソーシャルメディアはその後ティーパーティのような新保守派の逆襲にも役立って、民主党のオバマブームは2年も続かなかった。オバマ氏に致命的な失策とか裏切りとかはなかったと思うが、民主党政権が果たせたことには限りがあった。つまりオバマ人気だけでは政治経済の変革はできないのである。
結局政策の話になると、また2大政党の主張になって、民主的な格差是正論と、市場経済の小さな政府論のシーソーゲームが繰り返されている。しかも票の分布をみると南北戦争当時とあまり変わっていない。つまり100年以上アメリカ人が議論しても国としての変化はあまりなかったともいえる。これは今回の選挙では両陣営から膨大なテレビコマーシャルが流れて、むしろソーシャルメディアでの口コミよりも「マスメディアの逆襲」ともいえる状態になった。つまり同じメッセージを繰り返して印象つけるにはマスメディアが有効なわけだ。だからソーシャルメディアが役に立つところは、マスメディアには出ない情報がある場合で、それはオバマ氏の場合は2大政党の枠を超えた政治への期待であったし、ティーパーティは格差是正を必要に思わない本音であったと思う。
そういった意味ではソーシャルメディアが社会を変えるというのは大げさで、隠れている意見を可視化するくらいの役割があるので、政治なら争点の掘り下げとか、異なる視点で考えてみるというような、通り一遍の選挙戦にならないとマスメディアのメッセージ性を超えることはできないようだ。