投稿日: Jul 18, 2012 12:40:47 AM
どこから手をつけるべきかと思う方へ
ネットでいろんなサービスがタダだったり低額であるのは、どこかで収入の道があるからで、それはブラウザや検索エンジンに象徴されるマーケティング関連のサービスが中心である。つまり利用者の挙動のデータを集めて何らかの情報商品にしているのだが、それが個人情報云々ではあまり問題にされなかったのは、穏便なやり方をとっていたからだろう。以前alexaがちょっと問題視されたり、今年はGoogleのポリシー改定で「ええっ!」という声が上がったが、タダで利用できるメリットの方が上回っている。
一方で、ネット利用の登録とか利用履歴をどこかに蓄積されて、そのプロファイルの属性に応じた広告が送りつけられることが関係していると認識されると、とたんにキモチ悪さに変わる。以前AmericanExpressが明細書にOneToOne広告をつけたときに、女性向けブランド品の広告が入っているのを奥さんに見つけられるというので、ポシャってしまったことがあった。買い物に関してはいろいろ個人情報も絡んでいるので、自動的な利用履歴の収集と蓄積は問題になり、ブラウザでいうところの「プライベートモード」のような、情報を記録させない選択肢を購入時に見せるべきである。
利用履歴の収集と蓄積はサービス向上には必須であるので、これを禁じることはないのだが、「イヤ!」といえるようにしておかないと永遠に同じことの繰り返しになる。またサービス向上による売上げ向上がビジネス目的なら個人情報の蓄積は元来の目的ではないのだが、そうなりがちなのは集めた情報を情報商材として換金したいからであろう。これはどうしても問題にされることなので、情報収集者はもっと個人情報から離れたマーケティングサービスを開発しなければならない。これは通信販売業界に一日の長があり、業界を挙げてコンプライアンスの対応をしているので、この業界は伸びたといえる。
逆に言えばグローバルなビジネスの傾向が強いネットのマーケティングの方が大雑把であって、日本人の感性とか無視しがちで、ドツボにはまることがしばしばある。日本市場をターゲットにするならば、やはりマーケティングのビッグデータ化に沿った情報ビジネスのガイドラインを独自に作る努力をしなければ、成長→ドツボ→成長→ドツボ→…を繰り返して全体としての発展はないだろう。これはビッグデータを処理する技術の話ではなく、いろんな分野での顧客との接点をどのように設計するかという、個々の事業体の課題であって、そういったところがボケたままでビッグデータ活用のメリットを振りかざしても、「新マーケティング手法」という何時か来た道になるだろう。
関連情報 2012年7月25日(水) 『出版のマーケティングを見直す 復刊ドットコム』