投稿日: Apr 04, 2015 12:58:29 AM
日本の就職活動の異様さが話題になるが、これは比較的新しい現象であってバブルの頃からのような気がする。それ以前の高度経済成長やその余韻の時代はもっと企業の側の採用も人事評価もおおらかだった。その頃は中間管理者にも中卒集団就職からの叩き上げのような人は居たのだが、その後の時代になると昇進も学歴偏重になったようだし、組織としても昇進のための制度がいろいろできてきて、現場叩き上げの人の昇進の機会は減ってしまったのではないだろうか。
それまでの時代は日本の創業期ともいえて、仕事で頭角を現した人が独立していたのだが、それは学歴とは関係のないものだった。昔を振り返ると中卒集団就職の人でも大変に仕事熱心で職場の中心的な役割を果たすようになった人はよく見かけた。特に職人仕事には多かったのではないかと思うが、そういう人の独立創業が日本の中小企業の力にもなったのだろう。
今の中国や東南アジアの勢いをみていると、産業の活力はかつての日本と同じ様に、学歴とか関係なく仕事熱心で猪突猛進する人々に支えられているように見える。しかし日本ももう一度そのようになればよいというのは無理がある。その猪突猛進の時代は公害問題や労働環境の問題、あるいは取引の不明朗さ、汚職など、闇の部分も膨らんでいったからである。日本でバブルの崩壊が起こったのは、企業に染みついた闇の体質ゆえであった。
その後の日本は未だにこれからの道を見つけていないように思える。コンプライアンスや規制は企業活動の活力を削ぐように働いているし、自営業の創業も難しくしている。学生が社会に出るに際して、皆が大企業の就職に苦労するよりも、多様な中小企業に向いている人もいる。かつては大企業よりも中小企業の方に自由奔放さがあったのが、今は大企業ほどの活力もなくなっている。
つまり学歴とは関係なく熱心な人の出番が少なくなってしまったのが今の日本の状態ではないだろうか。
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