投稿日: May 28, 2014 12:55:37 AM
思い道理には発展しない
ネット上のアプリやサービスで、アメリカで急速に普及しているのに日本では火がつかないものは多くある。それは国情や国民性、ライフスタイル、ビジネス習慣などの違いが背景にあるからである。facebookのように日本で普及しても、その使われ方が異なる場合も同じである。
つまりアメリカで流行ったからと言ってそのまま日本に輸入して成功する製品やサービスが少ないことは、ネットが始まる前も、始まってからも同じだということだ。
異なるのはマーケティングやプロモーションに携わる広告代理店の立ち位置である。ネット以前には新製品や新サービスを告知するのにマスメディアを使うしかなかったのが、ネットのメディアやサービスは必ずしもマスマーケティングを必要としない点である。ネットの利用者がマスメディア以上になったので、ネット上でマス広告やキャンペーンを行うという点で広告代理店の役割があることは認めるが、ネット上でマスメディアと似たことをしても必ずしも効果が表れるわけではない。
ちょっと前にはグルーポンのようなネット上のサービスもあちらこちらにバナー広告を出していたが成功はしなかった。そもそもソーシャルなサービスとして考えられたクーポン共同購入をマスマーケティングすることに無理があったと思われる。ソーシャルなサービスにはソーシャルな発展の仕方があるのである。
堂々巡りのようだが、マスマーケティングが追いきれなかった利用者の細かなセグメントによる嗜好・行動形態の違いや、当然国情や国民性、ライフスタイル、ビジネス習慣などの違いこそが、ソーシャルなサービスの得意とするところで、出番となるところなのである。だからソーシャルなサービスをマスマーケティングするということに矛盾がある。
ソーシャルなサービスがどのような層に受け入れられて、どのようなメリットを享受してもらうかは、大体の予測はたてても、実際に広まりながら使われ方も決まっていき、それは最初にビジネスモデルを考えた時と大きく異なる場合が多い。日本が先行したポケベルやケータイも最初に予測したのとは異なる下からの盛り上がりによる発展の仕方をした。これはソーシャルなサービスにもあてはまる。そのソーシャルの特性に相応しいサービスの在り方が次第に出来上がっていくのである。
こういう経験をした日本ではあるが、いざネットでソーシャルメディアが普及した際に、新たな使われ方が自然発生的に行われているのは、割と小さい自営業的なものが多く、しかも食い物やファッション関係に偏っていて、中小企業のビジネスにはあまり貢献していないようにもみえる。
おそらくは中小の事業者がまだネットを、特にソーシャルメディアをよく知らないとか、距離を置いているからなのだろう。今まで広告代理店に依頼するほどのビジネスではなかったところこそ、自前メディアとかソーシャルメディアが使えるようになったことの恩恵を受けられるはずなのに、それには世代変りが必要なのだろう。