投稿日: Jan 21, 2015 1:27:33 AM
フランスやベルギーでのテロ騒ぎのニュースをみると、ヨーロッパではテロリスト情報も事前にたくさんあったことがうかがえる。その元を辿れば英仏などは今のイスラム地域の植民をしていた関係で、今日までいろいろなつながりがあるからである。つまりテロの標的にされるのも過去とのしがらみが無縁ではなく、歴史をひきずっている面があることと、それはお互いに歴史を共有していることでもあり、どちらか片方だけで問題解決できるものではなく、分かちがたいテーマになっているということだ。
それは日本と近隣国の関係にも似ているのだが、日本はやはり中東とはあまりにも距離がありすぎ、お互いによくわかっていない関係にある。中東のニュースというのは日本でも年中やっているわけで、かの地が政情不安定であることぐらいは誰でも知っているだろうが、なぜそうなったのかについての世界史的な知識も持ち合わせていない人が多い。ましてや中東人脈もあって、現地の実態を想像できる日本人は稀であろう。
9.11が起こった日にネット上をいろいろ検索して、事件の背景に関するももっとも参考になったのは欧米の政治雑誌で、中東に関するライターは現地に居る人たちであった。ライターの名前からして欧米人ではないのだが、かれらは英語でも暮らしているらしく、欧米育ちだが中東で仕事をしている人もいるのだろう。当然個人的にも中東になんらかのつながりをもっていると推測できる。こういう欧米と中東と2つの世界にまたがって暮らしている人が大勢いるので、単純にどっちが悪いとか言ってかたずけることにはならないで、冒頭の分かちがたいテーマが浮き上がってくる。
昨年にイスラム国に惨殺されたアメリカ人の人質はユダヤ系だった。イスラエルに行ったのちにシリアに入り込んでつかまっている。アメリカ人ジャーナリストとはいっても、イスラエルに関与する仕事をしていたために狙われたのかもしれない。そうでないかもしれないが、誰が敵で誰が味方なのか単純に割り切れない世界が中東にはあるのである。イスラム過激派でさえ一枚岩ではなく、いろんな宗派や母体の組織がある。それらに囲まれたイスラエルは自国の存続のために、いろんな手段でイスラエルに通じていることが知られないようにしてイスラム情報を集めていたに違いない。
日本では2003年にイラク大使館員が射殺されたことがあって、イスラム系の大使館員に警察関係者を任命するようなことにもなったが、そもそもイスラム情報に疎いことには変わりがないはずである。日本人人質事件などがおこると単純に反応する日本人がいっぱいいるわけだが、まずは中東のことをどれだけ知っているのか、というところを振り返ってもらいたいと思う。
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