投稿日: Apr 15, 2013 12:14:57 AM
日本らしさが必要と思う方へ
成人になって海外に出かけるようになって最初に気づいたのは、安くてよい土産物が見つからないことが多かったことである。自分の育った家庭の中にはいろいろもらい物やら、どこかで買ってきた小物が転がっていて、子供も木のおもちゃがいろいろあった。中には爺さんの時代からあるものもあり、小物入れには寄木細工が多かったし、寄木細工のパズルもあった。こういった精度の物は東南アジアには見当たらなかった。中国も高級品なら細工は日本以上なのであろうが、いわゆる御土産はすぐ壊れそうなツクリが多かった。
当然アメリカにはないしヨーロッパでも金属細工は土産物に多くあっても、安くて精度のよい丁寧な仕上げのものはあまりなかった。しかし今日では人手で細工するものは日本でも減ってしまうと同時に、手作り風にコンピュータ制御で精度の良いものがどこでも作られるようになったと思う。そんなわけで一見すると製品の質は上がっているのだが、量産品化してしまい、手作りのオンリーワン風のものがなくなっている。
今頃こんなことを書くのは、リサイクルショップやヤフオクで時々オヤッと思う中級の逸品に目が止まるようになったからである。記事『日本の強み発見伝』では、過去にSuzukiレスポールをリサイクルショップで買ったことを書いたが、当初から数万円もしない値段であっただろうギターでも歪のない丁寧な仕上がりで、今でも全く狂いが無いし、音も十分に有名メーカーに対抗できる。これはこういった木工の生産者がずっと過小評価に甘んじてきたことを示している。
今は生産設備にさえ投資すれば中国でも同じようなものが量産されるようになった。そういったモノ作りのシフトの中で、日本の律儀なモノ作りは、一部は下請けからオリジナルブランドへ転換したものはあるけれども、成長期に後追いして参入したところは消える運命にある。ではどういうところがオリジナルブランドへ転換できたのだろうかというところに興味が湧く。鈴木バイオリンの創業を検索すると三味線からスタートしたと書かれていて、伝統とは恐ろしいものであると思った。
また長野・静岡というのは木工製品では歴史があり、駿河の船作りなどは万葉集の時代からのものであるし、木工文化は縄文時代に遡るものである。
アジアに富裕層が増えると日本に観光旅行にやってくるのだから、中国から輸入して安物の御土産品を売るよりも、若干高めでも日本文化の魅力を伝えるようなモノ作りをもっとやったらよいと思う。そのためには花粉の元となる杉は切って活用するとともに、日本の風土にあった多様な樹木を育てて、その知識や加工ノウハウをもう一度復活させるてもらいたいものだ。