投稿日: Jul 31, 2013 12:44:47 AM
何が若者の刺激になるのか
日本の新幹線が優秀で、鉄道の発祥の地であるイギリスからも大量注文が来たというのはうれしいニュースだ。今は中国は自分で新幹線のような高速鉄道を作り、韓国も高速鉄道を輸出するようになっているので、かつてのように新幹線が日本のお家芸ではなくなっている。インドの新幹線も日本のほかに韓国も供給している。先日事故を起こしたスペインの高速鉄道を自国製のようだ。どうも新幹線・高速鉄道の製造というのも造船とか自家用車に近い産業になって、製造だけならコストの安いところが有利になる分野とも思える。
世界に新幹線・高速鉄道がいろいろあれど、運行実績からして日本の鉄道技術は信頼に足るものであることは世界が認めていると思う。速度で中国の列車が500km出たとかいっても、レーシングカーじゃないんだからビジネス・サービスをトータルに評価すれば、良し悪しは必然的に決まってくる。しかしこういった運行技術のように放送でも発電でも日本の多くの技術の優れたところは単純には判り難いので、それらが若者を触発するものとはなり難い点が問題である。
半世紀前、私の子供の頃にわくわくしたテーマのひとつに新幹線はあった。今中国で国産新幹線で盛り上がっているのはそれに似たものがきっとあるだろうと思う。国産技術振興は若い人に目標を与えるのによい。アメリカのアポロ計画も多くの分野に開発目標を設定できたことがアメリカの産業の力になったし、今でもIT分野でリードしているのはそのおかげである面もある。ところが日本にはそういった大目標というのはなかった。
比較的大きな目標になったのは高度情報化社会というやつで通信のデジタル化では国際的な競争力をもつことができた。あとは鉄腕アトムに触発されてロボット開発の研究に進んだ技術者がたくさんいる。
要するに今の日本には子供が夢中になるようなテーマが少なすぎるのではないか。新幹線でいえば、50年以上前から世界一のものを目指していた点が偉いし、ついにイギリスに輸出できるところまで継続して発展させたことはもっと偉い。そういったスケールのテーマが必要なので、それらを子供にわかる形で伝える必要がある。
子供に夢を与えないで、試験勉強ばかりさせるのは、日本を滅ぼすことになるかもしれない。