投稿日: Jan 21, 2016 1:13:57 AM
スマホに魚眼レンズをつけて写真を写せる器具がある。今はスマホも画素数は多いので、これを平面な画像に変換してもそれなりに見られる品質になる。魚眼レンズ自体はアナログ写真の時代からあったものだが、アプリを使って任意の位置を取り出してみるような、リアルタイムの画像処理操作はデジタルになってから可能になった。つまり情景をキャプチャーしたデータと、人が見たい・人が見やすい画像とがイコールであったのがアナログだったが、デジタルは両者を全く別のものにしてしまったといえる。
スマホではARで物体が浮かんで(重なって)出てくるとか、360度パノラマの写真だとか、モノをぐるっと回転させてどの方向からも見れる3D写真とか、デジタルでいろんな静止画の応用が広がっているが、これらはいずれも上記のインタラクティブな情報処理をして見る静止画であって、見る人は受け身でいるのではなく、自分で操作するように誘い込まなければならない。
これはちょうどPCからスマホなどに変わってタッチ操作が普及したのと似ている。今はパソコンの画面を触ろうとする人もいるくらいで、将来は静止画も自分の視点で見れるように操作するのが当たり前になるのかもしれない。
GoogleMapのような地図ができるまでの地図アプリは、ある場所から別の場所へのつながりを見るのに、隣接地図を一つづつ呼び出していたが、GoogleMapではシームレスに移動出来て、ズーム・パンもスムースである。これらは単なる画像アプリの進歩だけではなく、ビデオプロセッサの描画能力の向上のおかげでもある。
つまり現代の技術として視覚デバイスの底上げがあるので、こういった「動かせる写真」が増えていくのだろうと思う。エクスペリエンス型写真とでもいったらいいのだろうか…
当然ながら芸術写真やポートレイトなどは無理クリ動かす必要はないのだが、説明写真やエンタメや旅行の記録などは、撮影さえ簡単ならばパノラマが有用であろうし、その撮影方法としては、専用カメラを使うとか、専用アダプタを使うとか、いろいろ出てくるのだろう。魚眼レンズはもっとも安直な方法なので、すでに監視カメラなどにはよく使われている。会議でイネムリしている姿も証拠が残る時代である。
これらにもデジタルはアナログの置き換えではなく、新たな領域を拓くものであることが顕われていると思う。
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