投稿日: Feb 04, 2013 1:9:40 AM
デジタルデータが活用しにくいと思う方へ
家には何十年も前の紙の資料がたくさんあって、過去に何度もスキャンしてデジタル化することを試みてきた。ハンディスキャナとか、デジタルカメラの出始めとか、EPSONの安いスキャナとか、いろんな機会に試したし、スキャンを容易にするための補助具もいろいろ作ってみた。しかし決定版というのはなかった。確かに本を探し出してページをめくることを考えると、ネットのストレージ(ローカルでもクラウドでも)にあれば閲覧は楽であるが、それだけで機能が十分なわけではない。それは紙の資料には付箋を貼ったり、マーキングや書き込みをして、それらを基に次なる編集ステップに進むわけだが、それがデジタルファイルではうまくいかないのである。
紙の資料の場合には、半日なり1日なり、長ければ1ヶ月という一定の期間は、ひっぱり出して付箋を貼った資料の束が籠とか箱に入れられて、そこにノートとかメモが加えられていく。こういった雑多な異なる資料をひとまとめにして、何らかの作業をするための作業台というかプロジェクト管理が、デジタルファイルにしたとたんにやりにくくなってしまうのである。つまりノートやメモが資料の該当部分がデジタルでは無関係に離れ離れになっているので、ちょっと複雑な仕事となると混乱をしやすくなる。紙資料の現物なら付箋の色分けとか番号付けなどでお互いの関連付けが簡単にしかも一目瞭然にできる。
ビジネスに置き換えて考えると、在庫状況はデジタルで把握できても、商品を棚卸しをして評価し、廃棄とか損の計上をするような作業は不連続なのと似ている。商品にRFIDなどがついていても、それだけで管理が完了するわけではなく、紛失した商品、難ありの商品を、帳簿に反映させなければならない。今はモバイル機器があれば現場から写真やメモをネット経由で授受できるが、作業全体を管理するところはデジタルでは弱い。憶測だがAmazonはこういった領域も相当開発しているように思える。
今日ではコンテンツをデジタル化することは当たり前になったので、いつまでも制作技術に関わっているのではなくて、データを活用する方法の方に焦点を移す必要があると思う。これはTVanytimeのようなメタデータシステムとして考えられてきたものとも関連する。例えば動画のシーンにメタデータがついていればいろいろな活用に結びつく。よく採り上げられるのがスポーツのハイライトシーンを抜き出して見るようなことがある。これは人が選ぶだけでなく、シーンを自動抽出する技術も開発される。野球なら選手データとか球速とか他のデータとの連動も求められるだろう。
つまり紙資料なら付箋を貼るように、コンテンツのファイルの外側からメタデータをつけるシステムがあると、冒頭の次ステップの編集作業はやりやすくなる。PDFでもEPUBでも本体ファイルの外側に索引やリンクの情報を管理するファイルを作るということかと思う。しかしAdobeはPDFと外の世界をブリッジするような開発には消極的である。そのために十分活用されていないPDFが山のようにある。自炊代行業者が一歩踏み込んで、PDFアーカイブをネットで保管してくれて、サーバ上で複数のPDFファイルにまたがる索引の制作とか、該当ページのリンクを編集する仕組みを提供するようになってくれればうれしいのだが…