投稿日: Dec 07, 2011 12:52:45 AM
モノには順序があると思う方へ
新聞が減少するのは若い人が読みたいことが採り上げられていないからで、日本の電子書籍も同様の理由で広がっていかない。では若い人が何を好んでいるのかというと、無料のニコ動とかYouTubeなど同世代的なコンテンツであって、これはビジネスにならない。そこで既存メディアに若者の同世代的なコンテンツを載せる試みをしたところもあるし、同世代的なコンテンツを有料にする試みもあった。有料化はガラケーで成功し、今スマホで再チャレンジされている。タブレットは少し後回しになっている。なぜか。
このことを再考すると次の図のように制作プロセスの上流から下流への流れと逆に、最後の課金・決済のところからビジネス化が解決していく様子がわかる。つまりダイヤルQ2のように課金決済が通信代と一元化されるのが先にできて、それがケータイにも適用された。有料のコンテンツ配信を確実にするのに発展途上のブラウザは混乱しているのでガラケーが都合がよかった。これらはクリエータ側はあまり意識しなかったことかもしれない。クリエータを含めて出版側も川上から考えるし、それは間違いではないが、ビジネスの設計としては全体を見ておかなければならないのに、どうしても下流を軽視する傾向があるようにみえる。
つまり冒頭のように出版側と読者のギャップがどのように埋められていくかを考えると、コンテンツには左右されない下流から着実にデジタル・ネットの土台に切り替わりつつあり、今はAmazonKindleであれ、eBook類であれ、スマートTVであれ、リーダー・ビューワやオンラインストアのところが陣取合戦になっている。早晩これら配布の雄は決着がついて大衆的に広くリーチできる流通は絞り込まれるであろうから、その時代を想定してそれなりに売れそうなコンテンツのデジタル化の準備をしているところがある。現在書店の本棚で流通している既存のコンテンツの一部はデジタルに流れる時があるだろうという想定はできつつある。
しかしそれは既存出版社の思惑であって、それだけでは出版側と読者のギャップは埋まらない。むしろデジタル・ネットという状況下を活かして面白く企画編集できるかどうかがギャップを埋めるものになるだろう。その先にデジタル・ネットならではのコンテンツクリエーションがあるのだろう。今技術先行で無理やりの3Dへのがっかり感があるように、動画の要素を盛り込んだコミックとかあまりデジタルしすぎの試みは勇み足であると思える。