投稿日: Feb 22, 2012 12:39:44 AM
果てしなくシステム化が続くのかと思う方へ
IT屋さんとかSIerが業界別ソリューションを売り込む場合が多いが、実際は金太郎飴なソリューションが役立つことは少なく、商品やサービスの個別の状況に合わせた戦略をたてて、それを基にした設計が必要なことを、記事『事業の衰退と新規開発(2:個別性)』で書いた。国内産業は成熟から衰退期に差し掛かっている事業所が多いので、そこに「これで儲かる!」というソリューションを持ち込んでもピッタリこないし、実際に役には立たない。新規事業や新規商品をこれから始めるにしても、今までやってきた事業で収益性を確保することも欠かすことができない。こういった指向のことなるものをオールインワンでドンブリに放り込むようなソリューションは眉唾であり、それぞれ個別に検討すべきである。
新事業の導入期は試行錯誤であるから手作業が多くても、いろいろな可能性を探れる方法がよく、出来合いのテンプレートで安直にできるシステムよりも、いろんなテンプレート作りやすくてプロトタイピングが容易にできるシステムの方がよい。しかし事業が成長期に入ったならば効率運用が重要で、手間のかからない方法へとシステムを変えていかなければ、スケールアウトできない。これはメディア制作というよりはワークフローやコミュニケーションなど作業環境の改善に重点が移っていく。
事業に
ビジネスが軌道に乗って成熟期に向かえば、仕事の量的変動に対していつも十分な処理能力を用意するのはコスト高になるので、アウトソーシングして仕事の変動をカバーでき、社内はいつも十分効率的にまわるように、会社の内と外の分散・連携ということが可能なシステムとか、今ならクラウド化のような方法で、売り上げに応じてコストも変わり、固定費が圧迫しないものにする必要がある。
商品が衰退期に入ってもやめるわけには行かないことがよくあるが、その時はシステム処理能力の問題はなくても、運用の人件費がかけられなくなるので、商品の成熟期で利用者への情報提供やサポートが次第に減らせられる時に、利用者がセルフサービスで操作する部分を増やして、内部の運営コストをミニマムにしていくことを考えておかなければならない。外部へのアウトソーシングの支払いを止めて、クラウドとか社内サーバの片隅で動作していてくれればよい。
こうしてみてくると、商品ライフサイクル全生涯を通じてひとつのシステムで運用するのはバカバカしいことがわかる。しかし何度もシステムを作り変えることも問題である。つまりこの4つのシステムの移行をもっとも容易にするには、オープンなデータの持ち方や処理の仕方という共通基盤が必要になる。今改善に着手すべきところはどこなのかという優先順位はそれぞれの企業で異なっていても、それぞれのシステムが次第に連携していってから、商品の全生涯をカバーするマネジメントができるようになるのだろう。
目前にある魅力的なデバイスやツールに手を出す前に、技術とマネジメントの戦略をしっかり考えるようにしたい。