投稿日: Oct 02, 2014 12:46:39 AM
日本の電子書籍はEPUB3のおかげで弾みがついたといえ、技術的な意味で出版社が心配する要素は激減したと思う。スマホの大画面化も追い風になって、これからWebのブラウザで本や雑誌を読むようなモデルはあまり登場しないである。SNSも半分くらいの利用者はスマホなどモバイルに移行しているかと思え、今後の課題としてはいかにモバイルで使いやすく見やすくするかに取り組んでいくのであって、Webブラウザ向けの開発は二の次になるのではないかと思う。現にWebのCMS開発はWordPressで止まっているかのような状況で、新しいプレーヤーは出てこないかもしれない。ニュースの配信もモバイル第一になると、一体Webでなければならないものには何が残るのであろうか?
記事『BookOnDemandは敵か味方か』では、ブックオンデマンドを例に、新しい出版ビジネス形態をやろうとすると、コンテンツ、流通、課金などで解決すべきことがいろいろあり、そのビジネスプロセスをWeb上で開発していかなければならないことを書いた。つまりビジネスのバックヤードをWebやクラウドを使って構築していくという仕事が残っている。
これらはAmazonなどアメリカのクラウド型のサービス開発社がいち早くやってきたことを追いかけているようなものである。
前職でOpenSourceをいろいろ組み合わせて使って、CMSをカスタマイズして、Webによる情報発信とECと社内のビジネスプロセスを結び付けようと試みたことがあるが、OpenSourceをチューニングして使いこなすのは思った以上に手ごわく、テストすべき項目が多すぎて社内のスタッフでは手に負えないので、専門スキルをもったベンチャーと一緒にやっていても、先方の会社で人が入れ替わると予定道理にいかないことがいろいろあって、長期に取り組むシステムならともかく、即効を期待する開発はOpenSourceではやっていられないなというのが感想だった。
OpenSource技術は、小はAndroidからデータセンタのビッグデータ処理まで活用されているものではあるが、それらは技術の積み上げを専門家がコツコツ行っている世界の話であって、クライアント側の中途半端なエンジニアが使ってWebの利用範囲が広がっていくものではないかもしれない。
マイコン時代にみんながBasic言語を覚えれば業務改善ができるという幻想があったが、この種のことは大昔からあり、ピアノがあれば自宅で演奏ができるということでアメリカ中にピアノが売れたこともあった。Webでみんなが情報発信というのも同じような幻になりつつあるように思える。
かといってWebの利用が減るという意味ではなく、利用形態が限られてくるという意味で、一般にはタダのようなCMSの既製品と、SNSやECなどのプラットフォームでサービスが中心になるので、業務用ソリューションを開発するにしても個別のソリューションではなくプラットフォーム型のものになっていくだろうなと思う。(続く カタログソリューション)
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive