投稿日: Jun 19, 2013 1:39:13 AM
テレビ浸けはコワい
NHKで先端ビジネスぽい話題を取り上げることがあるが、最近クラウドファンディングを採り上げていたと思ったら、またクラウドソーシングもやっていた。NHK視聴者には中高年の信奉者がいて、勉強好きのおばあさんなんかも翌日に受け売りでしゃべりだすことがある。「ねぇ、・・・って知ってる?」なんて声をかけられることもしばしばなので(母親もそうだったが)、個人的にはNHKの番組には大変迷惑している。
そこで最近気づいたのが、彼及び彼女らはCloudとCrowdの区別がついていないことである。知り合いでDropBoxを使っているような人でも、クラウドファンディング・クラウドソーシングはネットでやるものだと思っている。わたしはNHKの番組をちゃんとみていないので、NHKがどのような説明をしていたのかは知らないが、番組制作の傾向として目新しい要素ばかりを視覚化して流しているので、言葉でもしちゃんと定義をしていたとしても、パソコンやスマホをいじりっている映像のイメージにひっぱられた形でITの何かとして記憶されるだろう。
クラウドソーシングなどは非正規雇用の促進ともいえる内容なので、NHKはある時にはパート・バイト・派遣を暗い取り上げ方しているくせに、クラウドソーシングをすばらしいもののように言うのは矛盾があることに視聴者は気づかないであろう。
モノ作りに関してはNHKはプロジェクトXのような紆余曲折を経て何かをモノにした話を美化しているくせに、安直なクラウドファンディングでニーズが満たせるような話をするのも矛盾である。クラウドファンディングの弱点は計画道理に物事が進まないときに破談になることだが、そんな紆余曲折にいろんなノウハウを吸収する機会があって、たとえ最初に設計したようなものが出来なかったとしても、ビジネス的には成功することが往々にある。
だからプロジェクトXもクラウドファンディングもどちらも万能ではないのだし、新しいものでもなんでもないので、取材ネタとして採り上げるべき理由が不明確な番組作りに思える。
まあ週刊誌もビジネス紙誌もその点は似たり寄ったりなのでNHKが特別にひどいというわけではなく、むしろマシなほうなのだろうが、マシなだけに素人に影響を与えやすいのだろう。つまり素人はその場限りの刺激的なニュースに満足をするのだが、実際にビジネスとかで直接に関わっているなら、そのニュースが自分のビジネスにとって役立つかどうかの文脈で価値判断されるので、無条件には受け入れられないという違いがある。
マスメディアであるテレビの世界が映像中心で5分でイメージを伝えるくらいの編集なのは仕方がないというか、それがテレビの強みでもある。デジタル時代ならそこをきっかけに、Wikipediaでもネットメディアでも書籍の注文でも関連付けて、出来事の背景やいきさつを知りたい人にも役立つメディアにすることができるはずだ。そうすれば5分で終わる話に終始することは幾らかでも回避できるだろう。