投稿日: Sep 06, 2014 1:5:6 AM
ネットの普及でビジネス化が進む分野としてロングテールがあるとよく言われるし、実際に日の目をみるようになったビジネスはいろいろある。しかし日本でもそのようにロングテールのビジネスが増えるのだろうか? これは国民性の違いで、皆と同じ様にふるまいたい日本人にはあてはまらないことのように思う。
ロングテールのビジネスはアメリカではeBayとかAmazonなどで広がっているのだが、アメリカは元々多民族が住んでいるし、またアングロサクソンのプロテスタントでもお互いに排他的に暮らしているので、多様な市場があったから、マスマーケティングではカバーしきれないところが、ネットでのマーケティング対象として浮上してきたのだと思う。
アメリカの市場の多様性というのは、個人主義に根差していて、多民族とか宗教とか地域性といったコミュニティ属性だけの差ではなく、家族の中でも一人一人の趣味嗜好というのが鮮明になっていると思う。それは音楽の嗜好にもあらわれていて、それぞれが自分の世界を作るような方向に行きがちである。確かに市場にある音楽全部を均すと大ヒットというのはあるが、ヒットチャートを気にしている人はあまりいないのが日本との差である。アメリカのDJは今週の第何位というようなことは言わない。ちなみにヒットチャートが好きなのはイギリスで、ヨーロッパ系の音楽ラジオ番組が日本にも当てはまるようになった。
私は大学の頃から欧米のレコードコレクターと交流していたので、向こうの雑誌や音楽事情を知ることができて、自分も彼らと同じ様に一部屋ほどレコードを集めてしまった。JazzとかCountryにはそれなりのコレクターが日本には居るとは思うのだが、日本には黒人Bluesなどに関しては交流する相手が居ないのが難点で困っている。
欧米のコレクターにもいろんなタイプはあって、自分の対象とする音楽に関しては歴史的に古い方から順番にレコードを並べるようなことをしている人とか、特定のミュージシャンとかプロデューサ関連のものを徹底的に集めるとか、珍しいものばかりを集めるとか、で何十年かけてどんどん掘り下げていく。そういう執拗さは個人主義からきていると思うのだが、その粘りをもつ日本人は少なかったなあと思い返している。
つまりロングテール市場というのは、市場性が少ないものであっても大変に執着している人が居てこそ成り立つ。日本の場合には漫画がそのような域に達しているかなとと思うのであるが、西洋音楽はまだそこまで行っていない。
私にはわからないがさまざまなモノにVintageの領域があって、それは消滅しない。持ち主が亡くなったら、そのコレクションは再びVintage 市場に放出されるからだ。eBayでは商品ジャンルの中で、Vintageは分けているところが多いが、ヤフオクとなるとVintageの区分はされていない。日本では遺族が遺品を廃棄することが殆どだからだ。ここらへんもまだ日本はロングテールが成り立ちにくいと思わされるところである。
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