投稿日: Dec 05, 2011 12:39:25 AM
クリエータの底上げをしたい方へ
ロングテールなローカルコンテンツと、マス向けにヒットするコンテンツが関係しあうことを、記事『ソーシャル時代のクリエータの生き方』『デジタルメディアを使うメリット』『放送禁止でもヒットするアメリカ』その他で断片的に採り上げたので、アメリカのレコードをベースに全体を俯瞰する図を作ってみた。図は1960年代的に描いているので、メディアとしては45回転レコードの制作から始まるが、今ならCDを焼くとかソーシャルメディア・YouTubeなどで身近なところから伝播させるようになっている。よくYouTubeで世界の何百万人が見たような話があるが、ローカルなクラブとかパーティで知られている程度の音楽は、通常今でも3桁程度のビューである。(1)
学校や町で話題になるとラジオ局が採り上げてくれたり、地元のクラブのジュークボックスに入れてもらえることがあり、ライブ活動だけでなくレコードでも若干の収入があるようになる。レコードを出しても地元で4桁程度では儲かるというところまではいかず、ライブ主体の音楽生活になるだろう。しかしここまでの範囲(2)が通常の音楽活動のほとんどであるので、まずはピンクやクリーム色の範囲で活性化させるためにソーシャルメディアなどが機能することが重要である。
音楽の人気が地域を越えて、全国的な放送とかレコード会社の目にとまると、マスターの譲渡とかリースで全国流通に乗る(3)ことがある。しかし全国流通レーベルにはそれぞれ独自のブランド性や販売戦略があるので、それに乗ったような音楽制作に切り替えていかなければならないことがある。それを嫌って有名になってもローカルレーベルに留まる人もいる。日本ならインディーズとライブ活動ということになるか。
しかしビッグビジネスとしてはここからが勝負で、うまくいくと海外のレコード会社にもライセンスされて印税生活とか、テレビや映画の仕事などスター街道が待っている。これは日常のテレビで伺える世界だが、実際には音楽活動全体から考えると例外のようなもので、大スターになるほど地に足がつかない世界になっていく。つまり音楽活動のある時期にマスメディアに乗ってヒットが出ても、それがずっと続くことはなく、どこか別のところに自分の居場所を作らざるを得ない。クリスマスシーズンになると高額のディナーショウなどが行われるが、それよりも一旦スターになってもピンクやクリーム色の「ふるさと」をもっていることが充実した音楽人生になるであろう。音楽活動の出発点を底辺と考えるのではなく、目的地と考えるのが正しいと思う。
スポーツにはフランチャイズとか地元クラブが支える構造があるように、他のコンテンツも自分の居場所をもつためにソーシャルメディアが使われるように思われる。高額ディナーショウよりも仲間や後輩とクリスマスパーティをする方が楽しいのではないか。