投稿日: Nov 04, 2010 11:38:59 PM
情報は人に知られてナンボと考える方へ
魚釣島の近くで日本領海にいた中国漁船が海上保安庁の船にぶつかって逃げようとした際の「尖閣ビデオ」がYouTubeに流出して話題となった。凄い映像というわけではないけど、元がデジタルだろうから、画質の劣化もなく、すごく綺麗でリアル。中国語で警告したり、サイレンが鳴ったり、日本語で実況を説明したり叫んでいる音声は臨場感がある。全部でどれくらいの映像なのかは知らないが、YouTubeに上がった程度ならUSBメモリに入るので、映像を持ち出すことは容易だろう。これが事故なのか故意なのか素人の私には判断できないが、流出させた人は、これを見てもらって真相を知ってもらうことが重要だと考えたのだろう。解釈は別問題として、(実際には映像が編集されているかいないかという問題は内包されているのだが)事実は事実として伝えることは道義に反することではないように思える。
報道写真もいろいろなサイトに上がるが、いつ消えるのかわからないので、個々人がダウンロード・保存している。Blogなども事件があるとすぐに管理者がアクセスしないようにするとか、検索エンジンに対しても警察がリンクを切るように要請することがある。しかしかつての個人が情報を発信できない時代なら、大元を断てば情報のコントロールが出来たのが、今では世界中のサーバに対して個人がアクセス・アップロードできるようになってしまったので、一旦オリジナル情報がコピーで流出してしまうと、もう元の鞘にはおさまらない。
情報流出が反社会的である場合は、法律やモラル面での規制がされるだろうが、そのように決めかねる情報は議論のネタになる。このことをあまり抑制してしまうと民主主義は成り立たなくて統制国家になってしまう。特に政治判断に関係することは国民の知る権利を確保するために、何らかの情報手段が必要で、そんなところから本来はジャーナリズムは生まれたと思う。しかし新聞でもTVでも容量的な制限があって、必要な生情報を提供することは不可能である。それはネットでカバーできるのが今日なので、YouTubeの経営が赤字なのか黒字なのか知らないが、そのアーカイブとしての存在意義は次第に明らかになってきた。
新聞協会は日本人の9割は新聞を見ているというが、実際に読んでいる時間の調査では平均10分強というデータもある。しかし他のWebでもケータイでも書籍でもDVDでも、それぞれの人が関心をもっているものは30分くらい接触している。ただし人によって集中するメディアが異なるので、平均すると新聞やTVのように9割以上の人が接するメディアは他にない。要するにマスメディアはニュースの「索引」であって、10分とかの短時間にいろいろな内容をザッと見せる点が最大の強みで、そことBlogNews(解説・コメント)とか過去情報のアーカイブがリンクするとよいだろうことがわかる。今日のメディア融合はAppleTVのようにコンテンツ販売といった即ビジネスの話になりがちだが、人を取り巻く情報系として、どんな進化があり得るかを考えてみてはどうか。