投稿日: May 25, 2010 2:7:18 PM
出版界と周囲のギャップをどう埋めるべきか考えている方へ
5.21 開催「電子出版の状況整理と無料経済の関係」の要約がPDFでupされた(http://bit.ly/b4rrPn)。2番手の仲俣暁生氏は日本の出版界がどういった点で危機感をもっているかについて、いくつかのトピックスから解説した。結局Googleでも国会図書館でも勝手に書籍のデジタル化をする動きを警戒しているのと、データベース側が(例えば国会図書館の外で利用された分には課金・支払いの構造があっても)アーカイブのシステムをコントロールすることに抵抗があるようだ。かといってBookServerのような共同運営的な方法に乗り気であるとも思えない。
国民の視点で社会的に考えれば電子図書館の存在は好ましいものかもしれないが、出版ビジネスをする側からは今の図書館は許せても、図書館サービスがあまりに拡張してしまうことをけん制している。そっとしておいてほしい、という声が聞こえてくるような気がするが、そっとしても出版流通が効率化するはずもなく、やはりネットを利用した出版の利活用を考える中で以上の状況の突破口を探さなければならないと思うのだが。
実は有料コンテンツにはいくつも先輩(アダルトとか)がいるのだし、クラウド的なソリューションを提案できるところもいっぱいある。さらに既存の書籍を安くデジタル化する中国のBPOもスタンバっている。小額課金・決済も方法はいろいろある。ほとんど環境は揃っているのだが、出版側から発注がないのが現在である。ひとつ考えられるのは出版社社内にこういったビジネスや技術に対応できる人材が足りないことだ。また出版社が乗り気でないことは過去からわかっているので印刷会社からも言い出しにくい。
仲俣氏は、絶版に近い本の電子書籍化での小遣い稼ぎ程度の売り上げはある例を話されたが、今必要なのは大それたビジネスというよりも、そのようなリスクの少ない分野での積み重ねで、それはBookOnDemandにもあてはまる。これらの代行業者が出版社の信頼を得た後に前述の有料クラウド配信・決済のソリューションを手がけるような進み方が日本的といえるかもしれない(そのようなポジションで立ち回れる会社はとっくにそう考えているのではあるが…)。出版社に今すぐソリューションの話を持ちかけても無理そうなので、小遣い稼ぎをしながら電子書籍の世界が見えてくるよ うすることが重要だろう。(もっともそれはGoogleやApple相手でも可能なんだけれども、それよりも優しげな代行業者と一緒にやりたいのだろう)