投稿日: Oct 15, 2015 12:25:40 AM
デジタルになって情報技術に関する消費者の支出がアメリカでどれだけ減っていったかを、20年にわたってグラフにしたものがある。
黒線のAll items を見ると20年で1.5倍くらいのインフレなのであるが、写真やオーディオやソフトは半分以下になっていて、パソコンやテレビは10分の1くらいまで下がっている。インターネットですら25%ほど下がっているが、これは2006年から7年にかけてガタっと下がって、あとは横ばいという特異なグラフになっている。モバイル化の影響がありそうだ。
唯一コストが上がっているのは旧来からあるCATVや衛星放送などで、その理由は新たな競争がない(むしろ生き残った者が独占的になっている?)ことらしい。実際は生き残ったCATVなどはデジタル化して電話や通信を含めた総合情報サービスになったことも売上高に貢献しているのではないかと思う。
日本でもCATVがタブレットを配って、Wifiでテレビを見られるようにしているなど、この分野はまだまだやることが増えそうで、テレビ受像機の落ち込んだ分からのシフトがある。
PCもガタガタに下がっているわけだが、ハードウェアとしてはセットトップボックスとか情報機器の裏側での需要にシフトしたともいえるだろう。それらを吸い上げているのがCATVなどともいえる。
ではCATVなどがこれから先に安泰あるいは有利な状態が続くのかといえば、コンテンツ戦略次第だろうと思う。ネットでは従来は放送の市場であった映画や音楽を配信サービスするモデルが伸びているので、それらとどのようにタイアップするのか、競争するのかがこれからの焦点になる。完全なブロードバンド環境がどこにでもできてしまうと、CATV業者のラストワンマイルというアドバンテージの競争力が無くなってしまうかもしれないからである。
いずれにせよ、1980年代末から1990年代初頭に描いた、水道の栓をひねれば水が出るように、どこでも情報が取り出せるようになる、というビジョンは着実に実現しつつある。だからネット業者であろうと有線・無線のサービスであろうと、情報を届けるだけというようなサービスの優位性はなくなっていくともいえる。