投稿日: Jan 24, 2012 12:0:13 AM
ヤラセ対策はキリがないと思う方へ
SNSというものを何年か使っていると、次々と新しい情報に接するようでいて、周期的に出たり消えたりする話題もある。SNSの利用者が増え、毎日使うようになるほどに、軽い話題が多くなり、人目をひく情報は一挙に拡散して、あくる日には忘れられたようになる。しかし何ヶ月するとまた同じことが起こっている。たとえば洗い熊が猫を抱きかかえた写真らしきものは、私の周りにこの2年の間に3-4回出現した。最初のころはこれは実際に起こったことでないということで消えてしまったのに、画像が一人歩きすると真偽は問題にされずに使われるようになる。空に鳥が飛んでいてそれが笑顔のように見えるものなど、このようなコラージュもので面白い作品はそれなりに多く出回っている。
中には悪質な画像の捏造もある。最近撮影された映像なのに白黒の荒れてぼけた効果をつけて、1960年ころのお宝映像に見せているものもYouTubeにある。ただし最近撮影されたカラーの映像も探せば出てくるので、両者を見ればインチキがばれる。9.11のような事故映像も煙の中に悪魔の顔があるとかイカサマ画像はいっぱいネットにあった。誰でもpostできる構造がある以上、こういったニセ画像は防ぎようがないし、一方では何年も鑑賞されるヒット作も生まれる。
テレビが登場した後で、テレビの映像は作られたものであって、そのまま信じてしまわないように視聴者側のスタンスを作らなければならないということで、メディアリテラシーが叫ばれた。TVで悪役を演じている役者さんが街を歩いていると、おばあさんが後ろから「この悪党め!」と罵倒した時代であった。しかしいつまでたってもメディアリテラシーは完成しない。近年では街角でイリュージョンをするマジック番組の発展系のようなものがあって、これはマジシャンなのか、それとも編集して作った番組なのか、という両論があった。しかし作っていないTV番組などないことを人々はなかなか納得しない。
昨今ステルスマーケティングとか口コミのヤラセを問題視する場合があるが、利害が背景にある情報には必ず何らかのバイアスがかかっていると考えるべきである。たとえばAmazonの本のレビューも、読み慣れてくると著者・出版社に関係した人が書いた匂いは感じることができるだろう。つまり自分の情報摂取能力を高めるというのは、この利害のバイアスを見分ける力であるし、それはネットだから特別に何かがあるわけではなく、TVの時代も雑誌の時代も、あらゆる広告も噂もすべてに共通するような、普遍的なリテラシーであると思う。