投稿日: Nov 28, 2011 12:38:31 AM
クロスメディアは発散しがちと思う方へ
名古屋に続いて大阪の選挙も既存政党カタナシの結果で、政党政治という民主主義のカタチと実際の機能のギャップを改めて認識した。すでに日本の知事で政党に属する人は1人しかいないはずで、役所が機能不全だけでなく、政党というのも選挙事務所以上の機能はないのではないかと思わされる。つまり役所と政党の政策はうまく連動して効果が出ているとは人々は考えていない。こういう政策立案と行政(運営)の乖離は日本中至るところにみられる。こうした成果の出ないお題目だけの論争が日本には多すぎて、うんざりしているから地域政党への期待が高まったのであろう。それに応えるのは簡単なことではないだろう。
広告戦略も立派そうな立案をすることと、日常のプロモーションや営業活動との連携が乖離していて、広告代理店がドカンとTVCMを打つことの効用が減って、SPへの予算シフトというのが近年あった。しかしCRM、SEO、デジタルサイネージ、メール・モバイル・ソーシャルメディアと手変え品変えプロモーションを乱発してもTVの神通力が減った分を補うことは難しかった。これはちょうど役所の仕事を増やしているようなもので、住民サービスメニューをいくら作っても、どこかピンボケなのと似ている。両者とも全体をわかっている人は誰もいないという状況に陥ってしまうからだ。
今後地域政党に何ができるのかは明らかではないが、ことビジネスに関するものならば、政策立案と行政(運営)の両方の上に強いマネジメントをもってくれば、両者がうまく連動しないことは抑えられる。2011年11月24日の 通販・ネット広告 -低コストで売上・利益を上げリピーターを獲得する広告戦略では、「スカルプD」がどうやってTV・PRイベント・ネットをクロスさせて、「楽天市場」の年間総合ランキングでトップに立つことができたかの事例を、株式会社グローバーズの大久保隆千栄氏と福井俊策氏から聞いた。この人たちは広告代理店出身者なのだが、クライアントの宣伝部の立場で仕事をしていて、クライアントに経営情報を開示してもらってオリエンを作り、広告代理店を集めてコンペで提案させる。その後の運用もきめ細かくPDCAをまわす、という広告・マーケティング・販促のマネジメントをして、高い効果をあげている。
これが広告代理店内部の人が提案を作るとなると、「昨年よりTVを半分にします。その代わりに…」という自らの売上を下げるような提案はできないが、外部のコンサルタントという立場でマネジメントして、クライアント自身が立案するならば、広告代理店の利益構造の「都合」のような、本来なら広告代理店の儲かりどころをはずすことができる。グローバーズのビジネスのキモは、広告メディアの調達は、あくまで費用対効果の軸上でしか行わない点である。プロモーションなどの結果として費用対効果が上がったというのではなく、最初から費用対効果の指標があってマネジメントがされている。
つまりアイディアの発揮どころは、費用対効果の軸上でどれだけのことができるかであって、先にクリエーターやタレントの高額な稼ぎに便乗する代理店の提案とは大きく異なっている。クリエーターやタレントの希少性に依存した代理店のやり方はクライアントのフトコロが豊かな時代には通用したが、今は与えられた条件下で本当にアタマを使って乗り越えることが求められている。