投稿日: Dec 21, 2013 12:41:21 AM
誰のための著作権か?
今日の日本の著作権問題のいやらしさは、利権の取り合いのようになっていて、本当にクリエイトした人に対する尊敬のようなものがどこかに行ってしまったことである。例えば出版社が出版権を主張するならば、著者やデザイナや編集者やカメラマンその他の本作りに貢献した人々の代表として行動すべきで、制作のコストはできるだけ抑えておいて、本が売れたら自分が最も儲かるように仕組んでいるとしたら、出版社を応援しようとする人は少なくなってしまう。Amaon騒ぎの余波で日本の印税は少なすぎるのではないかと思う人も出てきているので、出版社を中心にステークホルダが一致団結することにはならないかもしれない。
クールジャパンで日本の大衆文化を輸出に向けたいという考え自体は間違ってはいないと思うが、そのためにコンテンツビジネスの企業の利権を拡大するというよりも、クリエイトの底辺からすべてを持ち上げる必要がある。アニメ制作のように好きでやっているのだからということで最低賃金で固定化するような業界体質は変えて、若くて優秀な人が芽を出し頭角を表わしやすいようにしないと、国際的なコンテンツ競争で戦おうとするには不十分だ。
つまり若くても貢献しただけの収入とかリターンが得られるように、無名の人にもちゃんと権利を付与する必要がある。例えば印税のうちの何パーセントはアシスタントの人にもわたるような仕組みがあると、過去の仕事の積み重ねが収入のタシになるし、こういう管理をしていけばキャリアのトレーサビリティのような仕組みができて、その人の評価もしやすくなるだろう。この原資はデジタルコンテンツで印刷などの制作費が抑えられて印税増加にまわせられる分から配分していけばよい。
デジタルコンテンツの場合は、コンテンツそのものにメタデータをもたせられるので、映画で最後のエンドロールに関係者一覧がでてくるようなものを埋め込むことができる。だからこういうデータを横断的に検索できるようにすれば、実際の権利者に応分の成果配分をすることが可能になる。
コンテンツ輸出で版元だけが儲かっても国としてのメリットはなく、そこに関係した人全体が豊かになるような施策こそが国に求められているのではないか。