投稿日: Jun 01, 2011 12:50:21 AM
IT導入の次のステップに向かう方へ
日本においてメディアに関係したビジネスは内需の典型であるので、ビジネスの限界を感じているところが多い。英語のコンテンツは電子化によって世界に市場が広がるのでアメリカでは電子書籍で勢いづいているのに、日本ではもうひとつビジネス展開しないのは、あまりにも従来のビジネスモデルの中でしか電子書籍を考えてこなかったからだろう。確かに内需産業では新規開拓や市場拡大は従来以上に容易ではなくなっているが、視点を変えると見落していた市場に気づいたり、従来どうりでも効率化の余地が見つかり、経営の改善の余地はまだ多く残っている。
改善のポイントで最も見落としている足元のテーマはITやネットである。つまり商品としての電子が儲かるか儲からないかという以前に、ITで自社が強くなることを考えなければならない。そのことを以下の記事で書いてきた。
2011/04/21 コンテンツを資産に変えるには
2011/04/20 デジタルメディアでビジネス改善
2011/04/19 出版を続けるにしても、脱出版
2011/04/18 デジタルコンテンツで300%ビジネス
IT化が進んでどの企業も情報活用は盛んになったものの、デジタル化のメリットに確信が持てないために、IT導入はしても本業のコンテンツまわりのところは人任せの従来と同じビジネスプロセスのままになり、人の作業に加えてITも使わなければならないというロスが多くなる場合もある。その典型は校正作業で、PDFファイルをプリントして校正し、FAXで送り返すところもある。一方中国のアウトソーシング先とはPDFやWebに表示しながら、受発注双方がSkypeで話し合っているような作業のところもある。つまりメディアの企業内や業界内でのIT活用の温度差は広がっている。
これは主にコストダウンの話だが、IT化で目指すものは、むしろデジタル化でコンテンツの資産価値を高め、ビジネス機会を増やすような視点をもつことで、そこから資産価値を高めるような日常の運用体制を作ることである。このコツは秘密でも何でもない。むしろ出版や電子文書・電子カタログの分野でデジタルメディアが活用できる環境が近年整って、従来は本格的なコンテンツのデジタル化を阻んでいた要因の多くが変化したので、コンテンツ管理は誰にでも開けてきている。そこをポイントに新たな競争が始まるだろう。
コンテンツホルダ(出版及び電子文書)がビジネス改善をするためには、コンピュータが使えるだけではなく、コンテンツビジネスのポイントや注意点を分析し、今後のビジネスの活性化に役立てようとする意識や見識が求められる。そういう人は、日常のデジタルメディアに関するニュースから以下のようなことがピンとくるであろう。
・ コンテンツを管理することの意義がわかる。
・ 直接のコストダウンのヒントが得られる。
・ 無理のないプロセス・フローが考えられる。
・ IT化の流れに自社を合わせられる。
・ 将来にわたって成長できるロードマップが描ける。