投稿日: Oct 21, 2010 11:14:3 PM
メディアビジネスが瀬戸際にあると思う方へ
先日NHKで電子書籍を取り上げた番組があった。ちょっと前にはiPadとかスマートフォンが取り上げられていた。社会の中で目立つ技術革新や、それを使うライフスタイルの変化は常に語られてきた。これからこうなる、という話をいつもジャーナリズムはとりあげる。社会の変化部分を追いかけるのがジャーナリズムの仕事の一部だから当然だ。だがマスメディア報道はだいたいが消費者に目線を合わせているので、その仕事に係わっている当事者としてはニュースの中身は物足りないかもしれないし、傍観的なニュースを聞いているだけでは済まされないものがある。つまりマスコミを通じては伝わってこないところを当事者としては獲得しなければならない。これが行いやすい盛り上がっている前向きな業界と、同業者を通じては役立つ情報が入らない沈没していく業界がある。
さてメディアビジネスはどちらであろうか? 既存メディアは明らかに後者で、業界内の勉強会でロクな話はない。しかし捨てたものではなくコンテンツを扱っているという点で、今をときめくネットビジネスとの接点が多くなって、異業種交流的な機会は非常に増えてきた。それが次世代のメディアビジネスに踏み出す契機になるかどうかはわからない。インターネットやケータイのように情報流通の環境が前世紀とは全く変わってしまって、それが一般のビジネスのIT化とかEC化になったように、既存のメディアビジネスがこのままではやっていけない時期が迫っていると感じている。つまり今のブロードバンドの先、ここ何年かの間に起きる非連続な変化がメディアビジネスの命運を決めようとしている。
だから自分の事業の命運が何によって左右されるか、経営資産を棚卸ししてどのように再出発をすべきか、というのが変革の渦中の当事者として、今考えるべきことだ。いろんな課題や可能性があるけれども、TVでやっていたeBook・電子書籍のように既存の道具でできることは、単に売り上げを上げるためにやればいいだけの話で、そういったものが一巡した暁にどんなビジネスがあるのか、というのが次世代メディア事業としては考えるべきことである。つまり他人の将来予測を聞くだけでは生き残りの役には立たず、これからさらにインフラが変わる、パラダイムが変わる点に対して、移行できるのか、新規事業か、撤退か、などの判断をして、中期的な事業計画を作ることに着手しなければならない。
こういうことは逐次改良型の発想をする日本人には苦手で、フロンティア精神のアメリカ人は得意、というようなことも百万回言われてきたが、それを自分の問題としてチャレンジする時である。今世紀に入ってケータイがパケットから定額制に移行すると、それまでと利用方法や応用分野が変わって、公式サイトよりも検索、ゲームや暇つぶしアプリが増加、というような変化があった。これに乗れた会社とそうでない会社の差は数年のうちに極端に顕になった。そのような緊迫した気持ちで経営資産の棚卸しや仕切りなおしをしておいて、変化のタイミングに乗れるようにすることがメディアに係わる経営陣の最大の課題である。