投稿日: Nov 19, 2011 1:53:37 AM
通販と一口に言っても…と思う方へ
Amazonの便利さは誰もが感じるようになったが、Amazonのようなビジネスモデルはもはや太刀打ちできるようなものではなくなった。AmazonはいわゆるGMS(スーパーなど)や量販店がEC化したようなもので、大量仕入れ・大量処理の効率化でコスト上の差別化をするものだからである。Amazonは一般に思われるほどCRMのような個人情報を扱っていない。ただ統計的なリコメンドはデータ量が多いので他ショップよりも精度は高くなるのであろう。Amazonのサイトを見てもデザイン性は感じられないように、サイトにカタログとしての価値は置いていないことがわかる。むしろリコメンドとかレビューとか、今までの通販にはなかった要素をウリにしていることがわかる。
一方で日本の通販は楽天などのモール型は別として、専門店的な出身が多いので、GMS的なアプローチはとっていない。こういった姿勢の違いによって、Amazonとの共存が可能になっている。有名な通販大手はそれぞれのオリジナルな沿革があって、過去に物語性があるし固有のノウハウを持っているので、単に右から左に商品を流通させる通販によって対抗できるものではない。つまりマクロな消費ではなく、ある程度ターゲットを絞った消費者研究をしていて、そこに特化したデータ処理をしてきた。千趣会は仲間を通じた頒布会の楽しみから出発したり、ニッセンは主婦が一家の生活用品を調達するファミリー指向になったり、道は違っているがメディアとしてはカタログによる期待感の持続という特性をうまく使っている。
しかし紙のカタログの無駄を減らしていて、Webやモバイルの利便性を活かすことや、異なるメディアの上手な組み合わせでカタログ減を上回る効果を出すように工夫している。これはIT系の会社がCRMやWeb解析やクロスメディア化とかソーシャルメディアマーケティングを提案するよりも、ずっと地に足がついたものなので効果が出ているのであって、IT系が通販の後押しをするところにはまだ至っていないように思う。近年まで伸び続けてきた通販会社は独自のプロモーション能力をすでにもっているので、その会社が使いやすいツールさえ提供すればクロスして使われるようになるだろう。目下のところは紙の役割を肩代わりする電子カタログ的なものがテーマになるだろう。
Amazonと日本の大手通販はネット上で競合しているように見えても、スケールを目指すのか、オリジナルブランドを目指すのかというのが決定的な違いであると思う。これからマーケティング的にはネットの利用者の嗜好や動向をめぐってビッグデータ解析の競争になるだろうが、Amazonが利益性のよい大量仕入れ・大量販売の方向に進むのに対して、日本の通販はクロスメディア化とか、ファン作りやマーチャンダイジングの方向にデータ解析を使うことになるのだろう。これは通販業に関わらず、どこにも共通な方向だが、通販業が先行する可能性が高い。
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