投稿日: Feb 06, 2012 12:53:47 AM
どんな方向に進もうとしているかと思う方へ
企業がハンドリングすべきはソーシャルメディアそのものではなく、そこで取り上げられて、シェアされる種(商品やサービス)で、人目に触れるところを直接コントロールしようとするからステマにつながることを、記事『ソーシャルメディア黒子論(1)』で書いた。これはいままでのマスマーケティングの延長上にはなく、もっと経営姿勢に関するテーマなので、社内の再編成や再教育が必要になる。ただこういった流れは顧客中心主義の次の時代としてコトラー先生もおっしゃっていることで、従来のメディア・広告・マーケティングの人々の中からも、何々3.0の再構築に取り組む人は出てきているので、独りぼっちで立ち向かうものでもない。
ソーシャルメディアの特徴はいろんな点から語られるが、マスメディアのトップダウンとは対照的に情報発信者と受信者がフラットな位置関係にあることが最大で、誰でも参画できるオープン性があるものの、フェースブックなりソーシャルメディアサービスに何かを期待するのは大きな間違いで、フェースブック上に自分が乗っかったならば、自分が何か期待に応えられるものがあるのかどうかが問われることになる。一般には生活者が企業なり事業体にモノ申す場所のように考える人もいるが、企業から見たら、フォロワ数の多いファンなのか、企業にポジティブな姿勢の利用者なのか、などを見ているので、おあいこなのである。
ソーシャルメディアが他のコミュニケーションと異なるのは、そこで行き交う情報がコンピュータで処理できる点であり、それはもうお勧め広告を表示するというような段階を超えて、自然言語解析でセンチメント分析をする方向にあり、書き込みの内容から民主党支持か共和党支持かを見分けようというくらいである。ソーシャルメディアはそれを利用する人や組織を裸にしようとしているようなものだ。個人のプロフィールを明かさない人は居ないのと同じである。このようなソーシャルメディアの発展の方向は、利用者のリテラシー向上による面と、ITによるリアルタイム大量情報処理能力の2つの力によって、シーソーのようにそれぞれに揺れながら進むであろう。リテラシーは急進展はしないが、ITのほうはこの2-3年でも大きく変わって、いびつなシーソーではある。このひずみを埋めるために新たなサービスやアプリが出てくるのである。
世の中のソーシャルメディアアプリケーションやコンサルタントも、利用者の教育という面と、IT戦略という2面があると思う。いずれにせよ過去のメディアのように編集者とか人間が関与しないニュートラルな仕組みでオープンに運用されることは、このメディアの仕組みや何億人が使っているとか、どれだけページビューとかあるなどの全体の話はどうでもよく、ソーシャルメディアを通して見えるリアルワールドに自分も顧客もビジネスもあるのだから、まずそこで力を付けて、それがソーシャルメディアにナマに反映するように考えるべきである。