投稿日: Jan 29, 2013 1:15:37 AM
似ている業界がいろいろあると思う方へ
クラウドの時代にSIerが成り立たなくなるという話がある。これはいろんな角度から考察すると面白いネタだが、単純に考えるとかつての情報システムは冒険的というか博打のような要素があって、大きな効果を期待して膨大な初期投資をするのが当たり前であったのが、利用者側はそんなリスクが取れなくなってきたから、小さいシステムで小さい効果を積み重ねる方法に代わりつつあることである。それがパソコンで可能なレベルは終わって、社内サーバで出来るレベルも終わって、もっと大掛かりな処理もクラウドやマッシュアップでできるようになってきた。
つまりあまり冒険をしないリスクの低いSIは有用だろう。だから仕事の単価は非常に低くなるし、すぐに効果をだすためには運用やコンテンツなどいろんな面倒を見てあげなければならないから、かつての一発で大きな売上げを得ようとするSIビジネスのモデルは一般企業のお客さんには通用しないという点では、SIerが成り立たなくなるのはそのとうりだろう。
こういう「一発売上」から「日常運用費」へのビジネスモデルの変化は、ITを使って行うビジネスも同じで、大掛かりなCTSはなくなり、またAdobe製品をずらっと並べた作業場も縮小し、クラウドでの編集・制作に移行していく。それと同時に制作されたデジタルメディアを扱うビジネスも変わるのである。紙の雑誌が滅びつつあるのは媒体様式に問題があるというよりは広告モデルが成り立たなくなってきたからで、これはマスメディア全体の問題でTVの制作費削減も同じである。しかしコスト削減ばかりしていて勝てるメディア作りができるとも思えない。どこかで広告依存から抜け出して、何らかの有料モデル(お金はスポンサー側からと利用者側からの両方になるだろうが)にする試みが行われている。
媒体側は紙でも電子メディアでも有料化できる道は例えばCookPadのようにあるのだが、そこで出番が減るのが広告である。広告ビジネスも「一発売上」の大きいものを目指せばマスプロダクツを追いかけるわけだが、だからといって従来のTV広告の減少を補うような大きな広告モデルは出てこないだろう。YouTubeでも人気の画像にくっつく広告は大きな金額が動くが、制作費は微々たるものである。しかし新たな広告モデルの指向はマスメディア広告の埋め合わせを狙っているように思える。これはSIという冒険的初期投資の大きいビジネスに似ていて、広告ビジネスは一旦解体されてマーケティングやプロモーションの運用レベルのものとして再考されなければならないだろう。
でもそれはすでにGoogleその他が活動している領域ではあるのだが…