投稿日: Jul 01, 2013 12:34:10 AM
クラウドという土台の上で…
日本が情報家電の開発基地のような役割をした時代があって、情報家電が最先端で眩しいほどのものであった頃は、前評判によって売上が引っ張り上げられていたと思う。しかしDVDプレーヤーでもパソコンでも広く普及するということはコモディティ化することであって、複雑な機能よりも誰でも簡単に扱えるものにして、部品も絞り込んで安価に大量に提供するところが雄となるので、日本勢は次第に脱落していく。こういったことを20年以上続けていて、未だに日本の家電は戦略の建て直しができていない。
しかし同時に日本を追い上げていた韓国中国もこれらから脱する戦略というのはもっていない。唯一デザインやサービスに特化して製造はどこかに任せるAppleやGoogleだけが先を考えているように思える。それも実際は走りながら考えていて、先に確固としたビジョンがあるようにも思えない。そうならばまだ日本でも何らかの対抗策をする余裕はあると思う。今はスマホが売れ筋で、タブレットもまだビジネスや教育のメインストリームには定着していない。またPCが使われている産業用・業務用にはスマホもタブレットも入っていないところが多くあるので、そこを狙うのがよいのではないか。
つまりスマホは人々の日常生活の中で使うようなコモディティな目的に特化して発達したのであって、冒頭のシンプルさと廉価以外の競争要素はなくなりつつある。多くの処理やストレージがクラウドになるとすると、機能を突き詰めていけばスマホにはタッチすることと表示すことのヒューマンインタフェース以外は通信だけがあればよいものとなってしまい、そこに新たな機能を入れる余地はない。個人が常時持ち歩いていることをべースにすると、社員のIDカードやおさいふと同等のものとなってしまうだろう。免許証も住基カードもパスポートもそういったデバイスで代用するようになるかもしれないが、機能というのは何も追加しなくてもできるだろう。
産業用・業務用では生産性の観点からもっと効率的なユーザインタフェースが必要なので、例えば文字を打つにはキーボードといった具合に、専用のデバイスが作り続けられる。しかしそれらも従来のPCに比べればシンプルで安価なものとなるだろう。なぜならスマホやタブレットが身近にあれば、今マウスとディスプレイで操作しているようなものは今更開発する必要がなく、スマホやタブレットでログインしてアプリを開いて、Bluetoothで別の専用デバイスを利用するようなことでPCに置き換わる可能性がある。
PCに関しては産業用・業務用のオンプレミスなサーバーとして使われるだろうから、それを前提として業務用個別ユーザインタフェースによるソリューションというのがテーマになるだろう。印刷でいえば従来の制作工程でAdobe製品を使っていたような業務が分解されて、もっとユーザインタフェースの優れたものに取って代わるようなイメージであろう。